webstation plus

(※『卒業』表紙より)


 モラトリアムから抜け出せていますか。

 もし、「友人と過ごす時間がいちばん楽しい」と感じているようなら、子どもから大人に移行する橋渡し期間(=モラトリアム)から抜け出せていない証拠。今すぐ考え方や行動を変えたほうがいいかもしれません。

 なぜなら、現実逃避しやすくなるからです。

 同種・同族の友人といると安心しますよね。たとえば、自分もまわりも結婚していなければ、「みんな結婚していないから、私もまだいいか…」と考えてしまいがちです。

 しかし、安心したところで本質的な問題は何も解決していません。むしろ危機感を鈍らせているだけです。

 東野圭吾さんの小説『卒業』は、大学卒業を間近に控えた加賀恭一郎が大人への一歩を踏み出す物語。彼の姿を見れば、今すぐモラトリアムから抜け出したくなること間違いなし!?

 今回は『卒業』のあらすじとおすすめポイントを紹介します。

 『卒業』のあらすじ

 大学卒業を間近に控えた加賀恭一郎。彼は、仲の良い同級生6人と喫茶店で会話をしたり、バーでお酒を飲むなど、楽しい時間を過ごしていました。

 しかし、ある日。祥子が寮で手首を切って死にます。はじめは自殺と思われましたが、その後の調べで他殺の可能性が。

 加賀恭一郎が祥子の死の謎に迫る!?

 『卒業』のおすすめポイント

1. 加賀恭一郎が初登場!?

 『眠りの森』から『麒麟の翼』、『祈りの幕が下りる時』へと続いていく加賀恭一郎シリーズ第一弾の本作は、刑事になる前の加賀恭一郎が描かれています。

 もちろん、加賀恭一郎らしさは健在。大学生にも関わらず、するどい推理で事件の本質に迫ります。

 加賀恭一郎シリーズのファンなら絶対に読んでおきたい一冊です。

2. 「雪月花之式」を用いたトリックが斬新

 祥子に引き続き波香が死にます。彼女は茶道の「雪月花之式」というくじ引きゲームをしているときに、お茶に毒を入れられ殺されました。

 「雪月花之式」とは、お茶を飲む人や菓子を食べる人、次のお茶の準備をする人を毎回クジで決めるゲーム。特定の人に狙ったクジを引かせるのは不可能なはず。

 では、どうやって犯人は波香に狙ったクジを引かせたのか。

 東野圭吾さんらしい斬新なトリックに驚くこと間違いなし!?

3. モラトリアムから抜け出したくなる物語

 加賀恭一郎は、まさにモラトリアムから抜け出そうとしていました。

 友人のひとりである沙都子にプロポーズをしたり、友人を疑うことになっても、祥子や波香の死の謎を解き明かそうとします。

 まわりから止められても、

「本当の友情とは馴れ合うことではなく、それぞれが信じた道を進むことに拍車をかける関係のことだ」

 と、自らの信念を貫きます。

 彼の姿を見れば、今すぐモラトリアムから抜け出したくなること間違いなし!?

 最後に

 東野圭吾さんの小説『卒業』。読めば、モラトリアムから抜け出したくなる物語です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 関連記事

結果よりもプロセスを大切に/伊坂幸太郎『残り全部バケーション』感想

 「歩いても、走っても、飛んでも結果が変わらないのなら、飛びたいだろうが!」  そんなセリフを吐くドジなチンピラが主人公の小説が伊坂幸太郎さんの『残り全部バケーション』です。物語のすべてが語られないので、空白を埋めたくて …

サイコパスと闘えるのはサイコパスだけ?/伊坂幸太郎『死神の浮力』感想

 サイコパスっていますよね。彼らは良心を持たないので、好き放題に振舞っています。  たとえば、多くの人を殺したにも関わらず少年法に守られて今も平然と暮らしている殺人鬼。彼は成人してからも被害者家族を侮辱するような本を出し …

毒親とは人生をかけて闘う価値がある/山口恵以子『毒母ですが、なにか』感想

 毒親という言葉が広まりましたよね。このブログでも以前紹介しました。  このエントリにも書いたように、毒親に育てられた子どもは確実に不幸になります。だからこそ、毒親とは人生をかけて闘う価値があるのですが、毒親には子どもを …

春ちゃんが結婚!?畠中恵『ねこのばば』は魅力あるキャラクターが多数登場する時代小説

(※『ねこのばば』表紙より)  畠中恵さんの小説『ねこのばば』。  しゃばけシリーズ第3弾の本作は、魅力あるキャラクターが多数登場する時代小説です。ついに若だんなの幼馴染・春ちゃんが結婚する!?  今回は『ねこのばば』の …

法律なんてクソ食らえ/東野圭吾『沈黙のパレード』感想

 沈黙を続ける殺人犯を証拠不十分で無罪にした草薙たち警察が、その犯人を殺した関係者を追い詰める物語。それが東野圭吾さんの小説『沈黙のパレード』です。  久しぶりのガリレオシリーズとあって期待を裏切らない面白さでしたが、そ …

学生のバカなノリはお好きですか?/伊坂幸太郎『砂漠』感想

 学生ってバカですよね。私の知り合いの大学教授も言っていましたが、視野が狭いので簡単に騙せます。  しかし、学生たちは、何ひとつ経験していないクセに、何でもできると勘違いしているんですよね。そんな学生たちのバカなノリを描 …

恋愛ものが苦手な人にこそ読んでほしい小説/伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』感想

 恋愛小説はお好きですか。  私はどちらかと言えば苦手なのですが、伊坂幸太郎さんの作品ということもあって読んでみました。  結果、心配していたのがバカらしくなるくらい面白かったです。恋愛小説とは思えないストーリー構成だっ …

臆病は伝染する。そして勇気も伝染する/伊坂幸太郎『PK』感想

 タイムパラドックスを描いた小説。それが伊坂幸太郎さんの『PK』です。  この小説は3つの短編で構成されているのですが、タイムパラドックスを念頭に置いて順番を並び替えると、まるで一つの長編のような物語が出来上がるんですよ …

大事なのは事実よりも捉え方/川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』感想

 嫌な出来事ってありますよね。しかし、その嫌な出来事も捉え方を変えれば、プラスになるとしたら…。  川口俊和さんの小説『コーヒーが冷めないうちに』を読めば、「捉え方ひとつで人生は大きく変わるかも!」と思えてきます。 &n …

子供にとっていちばん大切な人は誰?/額賀澪『ウズタマ』感想

 子供にとって一番大切な人は両親だと言われていますよね。しかし、その両親が子供とうまくコミュニケーションが取れてなかったとしたら…。子供にとって一番大切な人はあっという間に変わってしまうかもしれません。  もし、親という …