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 毎日忙しく仕事をしている。まわりもそれを認めていて、非難する人はいない。それなのに、成果がでない。なぜだろう。

 結論からいえば、いまの業績の8割以上は、働いているうちの2割程度であげることができ、残り8割の時間は、ほとんど意味のない仕事をしている=「仕事をしたつもり」だからだ。

 そもそも、昔に比べてパソコンやプリンター、インターネットやスマホといった多くの新しい機器が浸透している。それなのに労働時間はまったく減らなかった。なぜなら、画期的な仕事をする代わりに、「やらなくてもいい仕事が増えた」からだ。

 たとえば、プレゼンの資料。会議だろうとプレゼンだろうと、相手に伝えたいこと、相手が知りたいことというのは、「ほんとうは簡単なひと言」で済ますことができる。すなわち、キーポイントを簡潔に述べ、相手の興味関心を喚起し、相手から次々と疑問を引き出していく――そういうスタイルで十分なはずだ。

 ところが、現実はそれでは済まない。見出しをつけたり、文字のフォントを選んだり、大きさを変えたり、わかりやすいイラストを作成するような余計な編集作業ばかりが増えている。

 セミナーの最前列で速記者のようにメモを取る人たちもそうだ。「A社の売り上げが下がった原因は何か?」といった本質的な質問に対する答えは、講師の発言のなかにはなく、行間から読み取らなければならない。しかし、メモ魔はそのための時間をつくらず、単に速記行為という単純作業を繰り返している。これではセミナーに参加する意味などない。

 では、なぜこのような「仕事をしたつもり(=仕事ができない人)」になってしまうのだろうか。それは、質では勝負できないので量でごまかそうとしているからだ。

 本当に大切なことは、少量行うのも難しい。そもそも「本当に大切なことは何か?」を考えること、それ自体が難しい行為である。一方で、質の低いことをたくさんするのは簡単。時間さえあれば誰にだってできるからだ。しかも、周囲の人たちは「少量の良質」よりも「多量の低質」のほうを得てして評価してしまう。だから、私たちは「本当に大切なこと」よりも、「安易にたくさん」を選んでしまうのだ。しかし、これではいつまでたっても「仕事をしたつもり」から抜け出せない。

 では、どうすれば「仕事をしたつもり」ではなく、質で勝負できるようになるのだろうか。仕事ができる人になれるのだろうか。その方法は次の二つ。

  1. 疑う
  2. 調べる

 「考える」ための最初の手段は「疑う」こと。疑ったら、つぎは自分で調べる。たとえば、あるブログが売れているのなら、何も考えずに「右に倣え」をするのではなく、「なぜそれがうまくいったのか」という理由を考えてみる。そして、「それは他の場面でもうまくいくのか」と考えてみる。なぜなら、そうやって考えなければ、いつまでたっても他人の二番煎じから抜け出せないからだ。

 そうやって「なぜ?」を考え、仮説を立てたあとは、実際にそれでうまくいくのか調べてみる。たとえば、ほとんどのカメラ小僧は、何を伝えたいのか、何を伝えるべきか、どうやったら伝わるかを本気では考えておらず、単に惰性で「決定的瞬間」を撮っている。だったら、本当に伝えたいテーマをもち、うまく伝わる方法を研究して写真を撮ればどうなるのか――コンテストに応募したり、ブログに投稿したりして、実際にその仮説が正しいかどうかを「調べてみる」のだ。

 つまり、「仕事をしたつもり」から抜け出す方法とは、「考えて、行動する」を繰り返していくことである。

 とはいえ、多くの人たちが「仕事をしたつもり」状態でいるので、いきなり「量より質」を重視して行動するとさまざまな問題が出てくるだろう。「上司の命令に従えないのか」と怒られたり、評価が下がってしまうかもしれない。だから、まずは「仕事をしたつもり」を半分にしよう。そして、残り半分は「仕事をしたフリ」――自分のアタマで考えて行動する時間にしていこう。そうすれば、これまでとは違い、何らかの成果が得られるはずだ。

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