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 力を適切に使っていますか?

 私は仕事で与えられた力を適切に使おうとしていますが、少しでも誘惑に負けると多くの人に迷惑をかけることになります。

 海堂尊さんの小説『チーム・バチスタの栄光』を読んで力を適切に使うことの大切さが身に染みてわかったんですよね。

 愚痴外来を生業にする主人公の物語

 物語の主人公は、不定愁訴外来と呼ばれる患者の愚痴を聞き続ける仕事をする田口公平。

 彼は出世欲がなく、病院の片隅で患者の愚痴を聞き続けていましたが…。

 なぜか高階病院長に呼び出され、アメリカ帰りのスーパースター・桐生が起こした術死の調査を依頼されます。

 桐生は心臓外科医として成功率が6割程度のバチスタ手術をほぼ失敗することなくこなしてきましたが、ここ3件は連続して失敗していました。

 しかし、桐生にはどう考えても術死につながるようなミスが思い当たりません。そこで病院長に相談したところ、田口に白羽の矢が当たったのです。

 そこで田口はチーム・バチスタの関係者に事情聴取をしますが、彼の調査も虚しく、またしても患者が死亡します。

 何かあると感じた田口は病院長に泣きついたところ…。

 ゴキブリを彷彿させる厚生労働省の役人が登場

 ゴキブリを彷彿させる厚生労働省の役人が田口の調査に参画します。

 彼は白鳥圭介という名前で、ロジカルモンスターと呼ばれていました。

 白鳥はそのあだ名の通り、純粋に理論だけを追及する人間なので、思ったことは口にしないと精神的にやられると病院長からアドバイスされます。

 そんな白鳥がチーム・バチスタの関係者に事情聴取をしたところ、田口の事情聴取とは違う彼らの一面が明らかになりました。

 受け身な事情聴取をする田口に対して、白鳥は攻撃的な事情聴取をしたからです。攻撃的になると人は本性を現すからだと言うのですが…。

 そのせいで白鳥は相手を泣かせ、殴られ、嫌われましたが、平然としていました。

 そうして嫌われながらも事情聴取をした結果、白鳥はあることに気づくのですが…。

 力には光と闇がある

 またしても患者が死亡します。白鳥がいない間に手術が行われたのです。

 しかし、白鳥はその現場に駆け込み、事件の真相を明らかにしていきます。その真相とは…。

 この続きは実際に読んでもらうとして、海堂尊さんの小説『チーム・バチスタの栄光』は、力には光だけでなく闇の部分があるので、適切に使える人間になろうと思える物語でした。

 ミステリーとして楽しめるだけでなく、田口と白鳥のかけ合いも面白いので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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