webstation plus

artists_01

 レオナルド・ダ・ヴィンチであれ、ココ・シャネルであれ、スティーブ・ジョブズであれ、天才と呼ばれるアーティストには、ある共通点がある。それは、「シンプル(=単純)に表現する」ということだ。

 たとえば、シャネル。彼女は帽子の専門店からお店をスタートしたが、当時はド派手な装飾を施した帽子ばかりが流通しており、彼女はそのデザインに嫌悪感を抱いていた。そこで、シャネルはシンプルな帽子を生み出す。それが瞬く間に上流階級の女性たちの間で流行となり、『エレガンス=装飾』という概念をぶち壊したのである。

 『スイミー』や『フレデリック』などの絵本を描いたイタリアの作家、レオ・レオーニもそのひとり。彼は絵本をシンプルにデザインすることで、これまでになかった作品を次々と生み出していった。

 たとえば、『あおくんときいろちゃん』。この絵本は、青色の丸「あおくん」と黄色の丸「きいろちゃん」の配置だけで物語を構成しているシンプルな作品だ。しかし、だからといってバカにしてはいけない。実際に読んでみるとわかるが、「あおくん」と「きいろちゃん」がとても人間的で、いたずらっ子のようにみえてくる。

 では、なぜ青色の丸と黄色の丸だけで物語が構成できたのか。実は、レオはこの作品を描くために無数の実験を繰りかえしていた。その実験とは、空間にものを配置すると、どういう効果が現れるのか、その特徴をつかもうとするものだった。たとえば、ある文字を紙の真ん中に置く場合と隅に置く場合とでは、全体のなかでもつ意味が違ってくる。すなわち、レオは空間配置による「独自の言語体系」を調べていたのだ。

 このように、レオが『あおくんときいろちゃん』で表現していたものは、一見、単純で簡単なモノのように思えるが、実はそのすべてに意味を持たせていた。つまり、シンプルに表現するには、そのすべてを説明できなければいけない。

 では、私たち凡人がシンプルな表現をするにはどうすればいいのだろう。レオの作品が教えてくれるのは、次の三つ。

  1. テーマを持つ
  2. すべてに意味を持たせる
  3. 自問自答を繰り返す

 まず、その作品をとおして表現したいテーマをもつこと。これがなければ、何かを表現することなどできない。レオにとってのテーマは、「自分とは何者かを知ること」だった。有名な絵本『スイミー』でも、他の小魚とは違う異分子の「ぼく」が、自分にしかできない役割を担おうとする物語を描いている。人にはそれぞれ個性と役割があるということ、そして、芸術家は他の人たちには見えないものをみることができることを伝えようとしている。このように、伝えたいテーマをもつことがはじめの一歩だ。

 「すべてに意味を持たせる」のは、すでに説明したとおり。そして、すべてに意味をもたせるには、「自問自答を繰り返す」しかない。それは、レオのように「空間にものを配置すると、どのような意味をもつのか」を調べることかもしれないし、「登場人物の存在理由」を繰り返し考えていくことかもしれない。とにかく、表現するすべてについて、自分のなかで納得する答えを見つ出すのである。そうすれば、余分な表現が存在できる「余地」がなくなる。つまり、シンプルになる。

 さて、今回紹介してきたように、シンプルに表現するには、テーマを持ち、そのテーマに沿って自問自答を繰り返しながら納得のいく答えをみつけていく必要がある。もちろん、絵本や帽子だけでなく、小説やブログ、ハンドメイド作品をつくる場合でも同じだろう。ぜひ、シンプルな表現を心がけてアーティストとして成長していこう。

 関連記事

「自己否定」をやめれば幸せになれる/がんばらない成長論

 がんばって努力して、勉強して、学んで、訓練して…。そうしないと「成長できない」と思っていませんか。私はそう思ってがんばってきました。うまくいかないのは「自分のがんばりが足りない」からだと考えてきました。  しかし、心屋 …

「自分の時間を大切にしている人」が絶対にしないこと

 それはバカと付き合うことです。ここで言うバカとは学力の話ではなく、思考停止に陥って、会話をしても何も得られるものがない人のことです。  そんなバカと付き合っている暇があるなら、やりたいことに時間を割いた方がいいですよね …

なぜ、速読に挑戦してもほとんどの人が失敗してしまうのか?

 あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きたりして無駄に過ごしてはいけない。  とは、スティーブ・ジョブズの言葉ですが、この言葉どおり私たちの人生には限りがあります。そこで、本を読む必要に迫られている人たちや多 …

勉強のやる気がでないのは「努力が足りない」からではなく「仕組みがない」から

 この前のエントリで、今後、エンジニアとして活躍したいのなら自律するしかないと書きました。  では、どうすれば自律できるのでしょうか。もちろん、勉強して考える力をつけるしかありませんよね。新しい技術や世の中の流れを理解し …

「ありのまま」か「なるがまま」か/ぶれない心を育てる方法

 前回、「悩みを解決したいのなら、悩みから逃げるのではなく、徹底的に悩みぬこう」というエントリを書きましたが、今回は前回と少し視点を変えて悩みについて考えてみたいと思います。  心理学者であるアルフレッド・アドラーは、「 …

自分らしさなんて追い求めるものじゃない

(※『地球星人』表紙より)  自分らしく生きていますか?  私は自分らしく生きていると思っていましたが、村田沙耶香さんの小説『地球星人』を読んで「自分らしさとは何なんだろう」と考えるようになりました。  というよりも、む …

仕事や人間関係、お金の不安を一瞬で消す方法

(※『「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』表紙より)  毎日、不安になることありませんか。 この仕事が成功しなかったらどうしよう… あの人に嫌われていないかな? お金が減るのはどうしたらいいの!?  などなど、 …

他人に勝つことよりも自分に負けないことが大切な理由

(※『道誉なり』表紙より)  私たちが住む世界には、権力やお金、名誉などをかけた闘いが星の数ほどあります。  身近なところで言えば、会社での出世争いや住んでいる場所での格付け争い、あるいはSNS上での知名度争いなどがそう …

「欲しいものが手に入らない!」と嘆く前に知っておきたい3つのこと

 欲しいものがなかなか手に入らない。そんな悩みを抱えていませんか?  お金、家、クルマ、人気、承認、役職、名誉、健康、愛情などなど。どれだけ望んでも手に入らないものってありますよね。  この原因を突き詰めて考えていくと、 …

失敗が成功を生み出す!?脳を進化させる3つの掟

 仕事や人間関係、スポーツなどで失敗したとき、あれこれ思い悩んでいませんか。  もし、そうだとしたら、損をしているかもしれません。失敗はオシッコをするのと同じくらい当然の出来事だからです。  今回は、本『英雄の書』を参考 …