東野圭吾『ガリレオの苦悩』は他人頼みではなく自分から動き出そうと思える物語

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 仕事でもプライベートでも趣味でも、何かアクションを起こすのは他人に促されてからになっていませんか?

 もちろん、誰にでもそういうところはありますが、東野圭吾さんの小説『ガリレオの苦悩』を読んで、できるだけ自分から動き出そうと思いました。

 本作から新たに加わった女性刑事・内海薫の行動が、強くそう思わせてくれたんですよね。




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 警察に協力するのをやめた湯川准教授

 では、あらすじから。

 前作『容疑者Xの献身』で大学時代の友人である石神を追い詰めた湯川は、警察に協力するのをやめましたが、彼の協力なしでは解決できない事件が起きます。

 ある女性が自宅のマンションから飛び降り、亡くなったのですが、本作から新たに加わった内海薫の指摘により、身近な人物が殺害した疑いが濃くなったのです。

 ところが、犯人と思われる人物は、彼女が飛び降りたときには地上にいました。内海は彼が何らかのトリックを使ったと考えますが、どうしてもその謎が解けません。

 そこで、内海は草薙から紹介状を書いてもらい、湯川に会いに行ったのですが…。湯川からは厳しい言葉を浴びせられました。

「君はどれだけ科学について勉強した?理系が苦手だといったが、それを克服する努力をしたことがあるのか?早々に投げ出して、科学から目をそむけてきたくちじゃないのか。それならそれでいい。一生、科学とは関わらないことだ。困ったときだけ警察手帳を翳し、さあ謎を解けと学者に命令するようなことはしないでもらいたい」

 それでも、どうしても謎を解きたい内海は…。

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 内海の行動が湯川を動かす

 自分なりに思いついたトリックを湯川に相談します。内海の話を聞いた湯川は、その思い付きを否定せず、「やってみたらいい」と勧めてくれました。

 そこで内海は、ひとりで何度も実験を繰り返します。この行動が湯川の琴線に触れ、再び彼を事件現場へと向かわせました。そして湯川は…。

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、湯川は次のような考えをもっていたからこそ、内海に協力したのです。

まずはやってみる――その姿勢が大事なんだ。理系の学生でも、頭の中で理屈をこね回すばかりで行動の伴わない連中が多い。そんな奴らはまず大成しない。どんなにわかりきったことでも、まずやってみる。実際の現象からしか新発見は生まれない。

 そんな湯川と内海のやり取りをみていると、他人頼みではなく自分から動き出そうと思えるんですよね。

 また、『ガリレオの苦悩』は、このような心に響く物語が他にも4編あります。簡単に紹介しておくと、

・身体の自由がきかない助教授が離れにいる息子を焼死させる
・ペンションに泊まりに来た客が密室をつくって行方不明になり渓谷から転落死する
・女子中学生が水晶をつかったダウジングで犬の死体を発見する
・「悪魔の手」と名乗る人物が犯行予告どおりに殺人を繰り返す

 です。どれも科学的な視点で謎が解き明かされますが、これまでとは一味違う湯川准教授に驚かされますよ。

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 内海薫が物語の幅を大きく広げる

 東野圭吾さんの小説『ガリレオの苦悩』は、『真夏の方程式』や『沈黙のパレード』へと続くガリレオシリーズの第四弾です。

 本作から内海薫が加わったことで、女性ならではの視点が追加され、物語の幅が広がったように思います。

 また、湯川准教授もこれまでとは違った一面を見せるので、ガリレオシリーズにとって大きな変化点にあたる物語だと思います。

 もし、ガリレオシリーズに興味があるなら、『ガリレオの苦悩』もぜひ読んでみてください。きっと湯川のセリフが心に響きますよ。

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