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 世の中には悪い奴らが大勢いますよね。そんな悪い奴らに立ち向かうにはどうすればいいのでしょうか。

 もちろん、瞬間移動しかありませんよね。

 伊坂幸太郎さんの小説『フーガはユーガ』は、瞬間移動という特殊能力を持った双子の主人公が、極悪非道の人間に立ち向かう姿を描いた物語です。

 内容的にはつらい話ばかりですが、最後まで読めばスッキリできますよ。

 父親に痛めつけられる双子の物語

 では、あらすじから。

 物語の主人公は、双子の優我と風我。彼らは幼い頃から、父親に痛めつけられて育ちました。少しでも気に入らないところがあると、気絶するまで殴られます。

 しかし、5歳の誕生日のときに、驚きの出来事が起こりました。風我を助けたいと念じていた優我にピリピリとした感覚が走り、次の瞬間には風我と入れ替わっていたのです。

 それから2時間おきに彼らはお互いの場所が入れ替わりましたが、この能力が発動するのは誕生日だけでした。

 そして彼らが大人になった現在。兄の優我は、ファミレスでディレクターを名乗る高杉と向き合っていました。彼らが瞬間移動した瞬間を盗撮され、その真偽を問われていたのです。

 優我は、高杉に「言っておきますけど、僕がしゃべることには嘘や省略がたくさんあります」といって、過去を語り始めます。優我はテレビに出たかったんですよね。

 しかし、優我が語った過去は、テレビで放送できるものではありませんでした。

 彼が語った過去とは…。

 極悪人ばかりが登場する物語

 極悪人ばかりが登場する物語でした。

 優我と風我が小学生の頃、ワタヤという同級生が「ワタボコリ」と呼ばれ、埃を食べろと命じられたり、女子トイレに閉じ込められるなどのいじめを受けていました。

 中学生になったときには、優我と風我がぬいぐるみを無理やり押し付けた小学生の女の子が未成年男性に轢き殺されます。木に縛り付けられて、何度も何度もクルマで轢かれたそうです。

 そして、彼らが中学を卒業して、風我に彼女ができると、その彼女が叔父から虐待を受けていました。裸にされて水槽に入れられ、電気ショックを与えられたり、溺れて苦しむ姿を見せ物にされていたのです。

 そんな極悪人たちに優我と風我は瞬間移動の能力を駆使して立ち向かっていくんですよね。

 もちろん、上手くいかないこともありましたが、彼らは、失敗しても、負けても、叩きのめされても、何度も何度も立ち向かっていきました。

 そんな優我たちの信条は、「父のように支配欲で他人を押さえつける人間は許さない」というもの。そのため、少女を轢き殺した極悪人まで懲らしめようとします。

 しかし、その極悪人が次に狙っていたのは…。

 極悪非道の人間に立ち向かうにはどうすればいい?

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、伊坂幸太郎さんの小説『フーガはユーガ』は、一人では無理でも、信頼できる仲間を見つければ、極悪人に立ち向かっていけるかもしれないと思える物語です。

 逆にいえば、私たちが悪事に無関心でいれば、極悪人がのさばってしまうということなんですよね。

 もちろん、伊坂幸太郎さんの小説『フーガはユーガ』は、サスペンスとしても、最後に驚きがまっている物語としても楽しめるので、

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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