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 世界中で経済格差が広がっています。

 たとえば、アメリカのある地域では、数年前からバスの最終時刻が20時になりました。スーパーや会社などは20時を過ぎても営業しているので、もっと遅くまでバスを利用したいと思っている人たちが大勢いますが、税金が足りないのでバスを走らせることができません。

 では、なぜ数年前から税金が足りなくなったのでしょうか。

 それは、お金を持っている人たちが「貧乏人のために税金を払いたくない!」といって独立したからです。金持ちしか住めない市を作ったんですね。ほんとスゴイ話です。しかも、この流れはアメリカ中に広がっていると言います。

 このような「自分さえよければいい」という人たちが増えていくと、経済格差は広がっていくばかり。この流れを食い止めるにはどうすればいいのでしょうか。百田尚樹さんの小説『フォルトゥナの瞳』は、そのひとつの方法を教えてくれます。

 小説『フォルトゥナの瞳』のあらすじ

 物語の主人公は、木山信一郎というごく普通の青年。彼は幼い頃に両親と妹を亡くし、孤独な生活を送っていました。友人も恋人もできず、朝から晩まで仕事をしては夜眠るだけの毎日です。

 ところがある日、彼は特殊な能力を手にします。それは、他人の運命――「他人の死」が見える瞳でした。漫画『デスノート』で、死神と契約した弥海砂が、自分以外の人間の寿命がわかるのと似たような能力です。

 しかし、『デスノート』とは決定的に違うところがあります。それは、信一郎が人を殺すためではなく、人を救うためにこの能力を使おうとしたところ。寿命が尽きようとしている人たちを、死の淵から救い出そうとしたのです。

 ところが、この能力には意外な落とし穴がありました。他人を死から救うことで、自分の寿命が短くなってしまうのです。

 それでも、彼はこの能力を人のために使い続けました。そこに自分の存在価値を求めたのかもしれません。とにかく、そうやって人のために行動し続けたところ、彼は思いもよらぬ幸運を手にします。生まれて初めて彼女ができたのです。

 彼の生活は一変しました。これまでのような代わり映えのない毎日ではなく、一日一日が幸せで溢れています。信一郎は彼女との生活を大切にするためにも、能力を使わずにいようとしますが――。

 「数日後に大勢の人たちが命を落とす事故」が起きることがわかったのです。さらに、この事故を食い止めるには、自分の命を犠牲にするしかありません。

 彼は決断に迫られます。自分の幸せを優先し、大勢の命を犠牲にするべきか。それとも、自らの命を犠牲にして、大勢の命を救うべきか。

 まとめ

 物語の結末は本書に譲るとして、年々拡大していく経済格差を食い止めるには、信一郎のように「人のため」に行動できる人が一人でも増えていくしかありません。そういう社会を築かなければ、近い将来、大勢の人が貧困に苦しむことになるでしょう。

 というわけで、『フォルトゥナの瞳』は、人のために行動することの大切さを教えてくれる小説です。未読の方は、読まれてみてはどうでしょうか。

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