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(※『禁断の魔術』表紙より)


 科学を何よりも信じていませんか。

 私は信じていました。科学的な根拠があることが、何よりも正しいことだと考えていました。

 しかし、東野圭吾さんの小説『禁断の魔術』を読んで少し考えが変わりました。あの湯川准教授が科学よりも大切なものがあることを教えてくれたからです。

 今回は、ガリレオシリーズ第8弾『禁断の魔術』のあらすじとおすすめポイントを紹介します。

 『禁断の魔術』のあらすじ

 光原町に最先端の科学技術を扱う研究所を集結させる計画が立ち上がりました。その名もスーパー・テクノポリス。

 元文部科学大臣の大賀代議士が計画を推進しますが、一部の地元住民からは批判の声が。

 そんなとき、反対運動をしていたフリーライターの長岡が殺害されます。彼が残したのは、壁に穴が空く動画と「若さって怖いな」というつぶやきでした。

 一体どんな意味が隠されているのか!?

 『禁断の魔術』のおすすめポイント

1. 複数の事件がひとつに繋がる!?

 長岡の殺害以外にも、倉庫の爆発やバイクの炎上、屋形船が燃え上がるといった事件が多発します。

 さらに、スイートルームで若い女性が卵管破裂によるショックで死亡。その後、しばらくしてから彼女の弟が行方不明になりました。

 一見、関係なさそうなこれらの事件がひとつに繋がっていくのが面白い物語です。

2. 科学よりも大切なものがあることを教えてくれる

 草薙と薫が事件の謎に迫りますが、今回の湯川准教授は捜査に非協力的でした。それは事件に愛弟子が関わっていたからです。

 といっても、彼は湯川が卒業した高校の後輩で、物理サークルで短期間かかわっただけ。しかし、彼の科学にかける情熱に促され、湯川も彼と真剣に向き合うようになりました。

 そんな彼が湯川と再会したとき、こんな質問をします。

科学を発展させた最大の原動力は人の死、すなわち戦争ではなかったのかと。

 それに対して湯川は、

もちろん科学技術には常にそういう側面がある。良いことだけに使われるわけではない。要は扱う人間の心次第。邪悪な人間の手にかかれば禁断の魔術となる。科学者は常にそのことを忘れてはならない。

 と答えます。しかし、湯川の気持ちを無視するかのように、彼は事件に関わっていきました。そこで湯川は捨て身の行動に!?

 驚きの結末が待っています。

3. これで湯川准教授ともお別れ!?

 事件が解決した後、湯川准教授はアメリカへと旅立ちました。これでガリレオシリーズも見納め!?

 もう一度湯川准教授に会いたくなる物語です。

 最後に

 東野圭吾さんの小説『禁断の魔術』。愛弟子が犯した過ちの責任を取ろうとする湯川准教授に感動すること間違いなし!?

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 こちらのエントリでも紹介しています。

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