webstation plus

(※『フィッシュストーリー』表紙より)


 伊坂幸太郎さんの小説『フィッシュストーリー』。伊坂ワールドで大人気の泥棒・黒澤が活躍する『サクリファイス』『ポテチ』など、ジャンルの異なる4作品を集めた中編小説集です。

 黒澤ファンはもちろんのこと、伊坂さんの作品を始めて読む方でも楽しめること間違いなし!?

 今回は小説『フィッシュストーリー』のあらすじと感想を紹介します。

 『フィッシュストーリー』のあらすじと感想

1. 『動物園のエンジン』

 動物園で働いていた永沢は、シンリンオオカミを逃した責任を取って動物園を辞めることに。その後、妻と離婚し、息子とも会えなくなった永沢は、夜は動物園で過ごし、朝になるとマンション建設の反対運動に参加するようになりました。

 なぜ永沢は、自分とは縁もゆかりもないマンション建設の反対運動に参加するようになったのか。

 この謎をダジャレを織り交ぜながら解いていく過程が面白い物語。オチでにやけること間違いなし!?

2. 『サクリファイス』

 『ラッシュライフ』や『重力ピエロ』に登場した泥棒・黒澤が、人探しの依頼を受けて小倉村に訪れます。ちょうどその頃、小倉村では「こもり様」と呼ばれる生け贄の儀式が行われていました。黒澤は無事に探し人を見つけられるのか!?

 「生け贄の儀式が現代まで残っていたら…」がテーマの物語。謎解きで「そうなっているかも!?」と納得できるお話でした。

3. 『フィッシュストーリー』

 最後のレコーディングに臨んだ売れないロックバンド。彼らはある小説の要約を音楽にのせて力の限り演奏しました。

 それから10年後。彼らの曲がきっかけでひと組のカップルが誕生。そして、さらに時は進み、彼らの曲が世界を救う!?

 ほんの些細なことがキッカケで人生は大きく変わることを教えてくれる物語。私の文章も誰かの人生に影響を与えているのかもしれませんね。

4. 『ポテチ』

 黒澤の同業者である今村は、空き巣に入った家で「これから自殺をする!」という留守電を聞き、その女性を助けに行きます。

 それから1年後。今度はプロ野球選手の家に空き巣に入った今村は、またもや留守電を聞いて、ある事件に巻き込まれることに。

 ポテトチップスの取り違えの話が親子関係の物語へと発展。オチで泣けます。

 最後に

 小説『フィッシュストーリー』は、異なるジャンルの4作品が楽しめる中編小説集です。個性ある作品ばかりなのでハマること間違いなし!?気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 関連記事

家族とは何か/森見登美彦『有頂天家族』

 「家族」ってなんだろう。血がつながった人たちの集まりのことだろうか。それとも、一緒に暮らしている人たちのことだろうか。あるいは、愛し合っている人たちの集まりのことだろうか。  たぶん、どれも正しくて、どれも間違っている …

信じる力の恐ろしさを教えてくれる小説『リア王』

 「プラシーボ効果」をご存知でしょうか。  別名、偽薬効果とも呼ばれており、たとえば夜眠れないと訴える患者に、医師が睡眠薬と偽ってビタミン剤を処方すると、患者は薬の効果を信じて安眠できるようになります。  他にも、「もっ …

低俗な雑誌や本は、読むだけで誰かを傷つける/『陽気なギャングは三つ数えろ』感想

 警察には事実を、ネットには面白い脚色を  というポリシーでブログを書かれている方も多いと思いますが、あまりにも脚色しすぎると、「とある週刊誌」のように名誉毀損で訴えられることになるかもしれません。ダイエットであれ、お酒 …

『魔王』は自分の考えを信じる大切さを教えてくれる小説

(※『魔王』表紙より)  伊坂幸太郎さんの小説『魔王』。政治を舞台に、他人の意見に同調することの怖ろしさと自分の考えを信じる大切さを教えてくれる物語です。  今回は、『魔王』のあらすじと感想を紹介します。  『 …

子どもには自由を与えよう/原田マハ『奇跡の人』

 『奇跡の人』をご存知だろうか。私は彼女の人生を絵本で知った。映画で観た記憶もある。彼女の名前はヘレン・ケラー。サリバン先生と共に「三重苦――目が見えない、耳が聞こえない、口が利けないという障害」を克服した文字どおり奇跡 …

「対等な関係」ってどんな関係?/伊坂幸太郎『チルドレン』感想

 伊坂幸太郎さんの小説『チルドレン』は、家裁調査員という聞きなれない職業を目指す学生時代と、その職業に就いてからの出来事を描いた物語です。『サブマリン』という続編が出ているので、復習の意味もこめて再読したのですが、本当に …

登場人物が薄っぺらい人間ばかりの小説『白ゆき姫殺人事件』

 他人をあれこれ評価していませんか? 「あいつは仕事のやり方が悪い」 「いい人なんだけどダサいよね」 「あれじゃ、結婚できなくて当然」  などなど。もし、普段からこのような陰口を言っているようなら、キッカケさえあれば友人 …

『首折り男のための協奏曲』は理不尽に立ち向かう勇気をくれる短編小説

(※『首折り男のための協奏曲』表紙より)  伊坂幸太郎さんの小説『首折り男のための協奏曲』。様々なジャンルの7つの短編で構成されていますが、多くの物語に共通しているテーマが「理不尽」です。  本当に理不尽な出来事ってあり …

『PK』は「勇気は未来に伝染する」がテーマのSF小説

(※『PK』表紙より)  伊坂幸太郎さんの小説『PK』。三編の中編から構成されており、「勇気は未来に伝染する」がテーマのSF小説です。読み進めていくうちに勇気が湧いてくること間違いなし!?  今回は『PK』のあらすじと感 …

『ラッシュライフ』は5つの物語がリレーのように繋がっていく小説

(※『ラッシュライフ』表紙より)  伊坂幸太郎さんの小説『ラッシュライフ』。5つの物語が交差して、まるでリレーのように繋がっていく作品です。  ある人にとっては不可思議な出来事でも、他の人にとっては当然の出来事で、不可思 …