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 今から一年ほど前。テレビで「世界卓球2015」が放送されていました。私はこの放送をみて、心が震えたことを今でも思い出します。14歳の伊藤美誠、15歳の平野美宇が世界の競合相手に堂々と闘っていたからです。これほどの「若さで」です。では、なぜ彼女たちは、これほどの若さで世界の強豪たちと闘える実力を手にしたのでしょうか。

 もちろん、もって生まれた才能もあるでしょう。しかし、私は「母親」の影響が大きいと思います。もっといえば、育て方によるものだと思います。

 平野美宇の母は、小学校を卒業したばかりの娘と離れて暮らす道を選びました。本気でオリンピックを目指すなら、多くのライバルたちがいる、環境が整った東京で練習したほうが娘のためになると考えたからです。

 でも、これってスゴイことですよね。小学校を卒業したばかりの子どもと「離れて暮らしたい」親なんていません。寂しかったでしょう。ツラかったでしょう。それでも、彼女は娘のためを思って、「あえて」離れて暮らす道を選んだのです。

 一方で、子どもが社会人になっても「子離れできない」親がいます。娘が「一人暮らしをする」というのを泣きながらとめたり、「私の言うことを聞いていれば何も問題ない」と勘違いしている親がいます。

 もちろん、こういった接し方をしていては、いつまでたっても子どもは成長できません。自立できません。そのため、子どもとしては、親に反発してでも「自分の意思」を貫きとおす強さを持つ必要があるのですが…、多くの場合、親の言うことに従ってしまいます。

 なぜなら、親に反発した経験がない、もしくは少ないからです。あるいは、親の言うことに従うことが「親孝行」だと信じているからかもしれません。しかし、本当の親孝行とは、親から自立して自分の信じる道を歩み続けることです。自分で考え、行動する力を手に入れることです。

 そこで今回は、『母親が知らない娘の本音がわかる本』を参考に、子どもにとって毒になる親、いわゆる「毒親」の特徴を紹介したいと思います。もし、あなたが子どもであれば「不必要に親の言うことに従わないため」に、親であれば「必要以上に子どもに干渉しないために」という視点で読んでいただければと思います。

 毒親の特徴①:自分の期待や価値観を押し付ける

 たとえわが子であっても、子どもと親は別人格です。当たり前のことですが、これがわかっていない親が少なくありません。たとえば、自分が子どもの頃に思い描いていた夢を子どもに押し付けたり、「こうあるべきだ」という価値観を押し付けたり、「親の言うことに従っていればいい」と考えていたり…。

 しかし、こういった考えは親が安心するためのものです。子どもにとっては、あるときまでは「安心」になっても、自分探しをはじめる思春期の年頃になれば、かえって不安や混乱を与えることになります。なぜなら、子どもたちのなかにプログラムされた本能は、親から離れることを求めるからです。

 それにも関わらず、こうして育てられた子どもの多くが、親の期待や価値観に応えよう、従おうとします。なぜでしょうか。それは、親に愛されたい一心だからです。彼らは家庭の事情をよく理解していて、親の期待を「あるべき自分の姿」にすることが、親の言うことに従い「私はこうじゃなきゃいけない」「これができないといけない」と親の理想を追い求めることが、親から愛されるために必要不可欠であることを知っているからです。

 しかし、こうした生き方には限界があります。いずれ彼らは自分らしさを求めて歩きはじめます。このとき、「親の言うとおりじゃなきゃ、あたしは用なしかよ」と傷つくことになります。さらには、苦しみもがき、絶望して、非行に走ったり、生きる気力までも失ってしまうかもしれません。

 子どもにそんな思いをさせたくないのなら、親の期待や支配の縛りをとき、自分の足で好きな道を歩めばいいのだと、子どもを解放してあげることが大切です。わが子であっても別の人間。子どもの人生は、子ども自身が決めるのだという認識が、新たな出発点になるでしょう。

 毒親の特徴②:子どもの価値観を受け入れない

 子どもは親の意見とは無関係に「自分の考え」を聞いて欲しいと思っています。たとえその通りにならなくても、自分の考えていることを聞いて欲しい、わかって欲しいと願っています。結論ではなく、葛藤している自分の思いをそのまま受け止めて欲しいのです。それが「認められている」という安心感になるからです。

 それにも関わらず、「子どもが間違っている」からといって、親が頭ごなしに否定すればどうなるでしょうか。積極的に自己主張をして注目を浴びようとする「極端に手のかかる子」になるか、あるいは自己主張することをためらい、自分の気持ちがいえなくなる「手のかからない子」のどちらかになってしまうでしょう。

 ここで、「あれ?手のかからない子って、子育てが上手くいってる子なのでは?」と疑問に思った方もいるかもしれません。しかし、「手のかからない子」「親の言うことを聞く素直ないい子」というのは、「言いたいことがある」のに、「わかって欲しい気持ちでいっぱい」なのに、それが「言えない子」なのです。もしくは、子ども自身がどうなりたいかよりも、親の価値観や期待の方向に、関心とエネルギーを注いでいる子なのかもしれません。

 では、こういった素直な子が自我に目覚めればどうなるでしょうか。親の価値観と自分の世界とのギャップに悩むことになります。しかも、このタイプの子どもは、自分の世界を親が受け入れてくれるかどうかをよくわかっているので、受け入れてくれないと悟ってしまうと、反抗よりも「親にあわせて演技する」ことを選んでしまいます。うわべは、親の期待どおりのいい子や優等生でも、内面ではとても不安を抱えています。

 また、親の言いなりになるということは、自分で判断してリスクを冒すことに対して臆病になり、現実への適応力が乏しかったり、「ここいちばん」というときに、あまり頼りにならない大人に育ってしまいがちです。

 こうした「もろさ」があるために、自分の思い通りにならなかったり、期待通りの結果が出ない状況になると、簡単に破綻をきたすことにもなりかねません。自分が望んでがんばっているわけではないだけに、うまくいかなかったときの怒りは、恨みとなって、親や社会に向きやすくなるのです。

 だからこそ、親には子どもの気持ちをドンと受け止める度量が求められます。たとえ子どもが反抗したとしても、親がいつもと変わらずに大きく構えてくれていると思うと、子どもは安心して、落ち着きを取り戻しやすくなります。ぜひ、大きな気持ちで子どもを受け入れていきましょう。

 毒親の特徴③:都合よく解釈する

 先ほどの「手のかからない子」「親のいうことを聞く素直な子」というのもそうでしたが、親が子どもの気持ちを理解せず、自分にとって都合のいい解釈をしてしまうことがあります。ではなぜ、子どものことを大切に思っているはずの親が、そんなことをしてしまうのでしょうか。

 それは、「自分の見たいもの」だけをみようとしているからです。子どもの気持ちよりも自分の気持ちを優先しているからです。

 コミュニケーションでもっとも大切なことは、相手のありのままの姿に目をむけ、それを受け入れることだといわれています。もちろん、受け入れられないこともあるでしょう。それでも、理解しようとすることはできます。しかし、毒親にはこれができない。できないから「自分の見たいもの」だけを見て、現実を捻じ曲げて納得してしまうのです。

 それだけではありません。症状がひどくなると、「自分の見たくないもの」には脅しをかけて握りつぶそうとします。たとえば、次のような言葉を吐いてしまうのです。

「誰のおかげで大きくなったと思っているの」
「縁を切るぞ」「縁を切ってくれてもいいからね」
「お父さん(お母さん)に悲しい思いをさせてはダメ」

 こういった言葉を聞かされた子どもはどうなるでしょうか。大人になっても親のいうことに従おうとするでしょう。さらには、自分の子どもができたとき、子どもに対しても同じような脅しをかけてしまうかもしれません。本当の意味での「信頼」がわからないからです。

 だからこそ、親は「自分の気持ち」よりも「子どもの気持ち」を大切にしていくべきです。たとえ、自分の価値観とは違う道を子どもが選んだとしても、理解しようと努力していく必要があるのです。そうして子どもと接していけば、子どもも心を開いて「本当の気持ち」が話せるようになるでしょう。

 まとめ

 これまで見てきたように、「毒親」に共通している特徴とは、本気で子どもと向き合おうとはせず、自分が思い描いている世界に子どもを引きずり込もうとしている点です。そして、そういう「毒親」にならないためには、自分と子どもは別の人間なんだ、別の価値観を持っているんだと、子どもの存在そのものを認めていく度量が必要になります。

 一方で、毒親と付き合っていく必要がある子どもは、親の気持ちよりも「自分の気持ち」を優先していく癖をつけなければいけません。親の顔色を見て、自分の考えを引っ込めてはいけないのです。もちろん、自己主張ばかりしていてはいけませんが。

 そうして、自分の価値観を大切にしながら責任をもって行動していけば――いずれは親にも認められる日がやってくるでしょう。もし、たとえそういった日がやってこなかったとしても、自分の人生は自分でしか責任が取れません。ぜひ、自分の気持ちを大切にして生きていきましょう。それこそが本当の親孝行なのですから。

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