
(※『未来』表紙より)
湊かなえさんの小説『未来』。
『告白』から10年。湊ワールドの集大成!
と帯にも書かれていたので期待して読んだのですが、途中で何度も挫折しかけました。
今回はその理由について書いてみたいと思います。
挫折しそうになった3つの理由
1. どこかで読んだことのある物語
物語は、パパを亡くして落ち込んでいる10歳の章子のもとに、30歳になった未来の自分から手紙が届くシーンからスタートします。
この時点で「どうなっていくんだろう!」と期待に胸を膨らませていたのですが、徐々にその想いが冷めていきました。どこかで読んだことのある物語が展開されていったからです。
章子のママはとても綺麗な人でしたが、人形のように心を閉ざすことがありました。パパが亡くなってからは、ママが心を開くことはありません。
そんなとき、学校の先生が心配して家に来てくれたことをキッカケに、ママは人に戻る時間が増えていきます。ところが、ママがその男性教師と付き合っているのではないかという噂が学校中に広まりました。
男性教師との関係を明確に否定したママでしたが、その後も男性との噂が後を耐えません。しかもママは過去に殺人を犯していたことがわかります。本当にママを信じていいのでしょうか――。
というように、『未来』は火曜サスペンス劇場などでよくある設定。「どこかで読んだことがある」と思っても不思議ではありません。
200ページほどそのような話が続くので何度も挫折しかけました。
2. 誰も救われない物語
とはいえ、すでに知っているような話でも惹きこまれる物語もあります。
たとえば、『名探偵コナン』。殺人事件が起きてコナンが謎を解くという、ある意味ワンパターンの物語ですが、ついつい読んでしまいます。
そのため、似たような物語だからという理由だけで挫折しそうになったわけではありません。
では、なぜ挫折しそうになったのか。
それは、嫌いなストーリー展開だったから。登場人物の誰もが救われなさそうな物語だったからです。そういえば、東野圭吾さんの『さまよう刃』も挫折していました。
しかし、『未来』は挫折しそうになりながらも最後まで読みきったのですが――。
3. オチが弱い
残念ながら、最初に思い描いた感想から変わりませんでした。想像していた以上の驚きはなく、ただただキツイ物語を読まされた印象です。
浮気やDV、虐待。そんな話を450ページ近く読んだだけ。未来からの手紙のオチも微妙で、最後まで救われない。そんな物語でした。
物語に夢や希望を求めている私には合わなかったのかもしれませんが、他の湊作品が好きなだけに残念でした。
最後に
湊かなえさんの小説『未来』。
火曜サスペンス劇場のようなタッチで描かれている小説なので私にはあいませんでしたが、気になった方はぜひ読んでみてください。