webstation plus

(※『騙し絵の牙』表紙より)


 仕事に人生をかけてますか?

 私はかけていません。仕事の悩みは星の数ほどありますが、どれも「叱られたくない!」というネガティブな感情からスタートしています。

 「成し遂げたいことがある」なんてカッコいいセリフは、しばらく吐けそうにないんですよね。

 塩田武士さんの小説『騙し絵の牙』は、雑誌の編集長・速水輝也が仕事に人生をかけて奮闘する物語です。読めば、胸が熱くなること間違いなし!?

 今回は『騙し絵の牙』のあらすじとおすすめポイントを紹介します。

 『騙し絵の牙』のあらすじ

 大手出版社で『トリニティ』というカルチャー雑誌の編集長を務める速水輝也。彼は誰からも愛される人気者で、才能溢れる人物でした。

 しかし、ある日。上司から呼び出された速水は、『トリニティ』が廃刊の危機にあることを知ります。

 出版業界が置かれている現状を考えると、仕方ないことのようにも思えますが、速水は何としてでも廃刊を取り下げてもらえるよう行動しました。なぜなら――。

 驚きの結末が待っている物語です。

 『騙し絵の牙』のおすすめポイント

1. 大泉洋さんが思い浮かぶ小説

 『騙し絵の牙』は、大泉洋さんをあてがきした小説です。

 私は初めて「あてがき」というものを知りましたが、役を演じる俳優をあらかじめ決めておいてから脚本(小説)を書くことだそうです。

 たしかに、速水輝也は大泉洋さんにしか思えません。

 場の盛り上げ方や気まずい空気の乗り越え方、他人を責めないところ、そして次々と不幸な出来事に見舞われるところなど、大泉洋さんのイメージそのものです。

 著者の塩田武士さんは、とても大泉洋さんが好きなんでしょうね。

 映画化されることも決まったので、映画を観る前に、頭の中で大泉洋さんを動かしてみてはどうでしょうか。

2. 速水の奮闘に胸が熱くなる

 雑誌の編集長は、想像以上に大変な仕事です。

 特集や記事の企画立案から始まり、取材のときはライターやカメラマン、メイクやスタイリストに仕事を依頼して撮影用のスタジオを押さえます。

 もちろん、インタビューの現場にも立ち会い、取材後はデザイナーに誌面の設計図となる「ラフ」の作成を発注。

 試し刷りした「ゲラ」と呼ばれる誌面で「初稿」「再校」と二重に原稿をチェックして、無事雑誌が発行された後は経費請求書などの事務処理をします。

 それに加えて、付き合いの酒席も入ると…。年中目が回る忙しさですよね。

 速水はそれに加えて、部下の不始末の尻拭いをしたり、大物作家に頭を下げたり、テレビマンに鼻であしらわれたりします。さらに、妻との関係が悪くなり、娘とも離れ離れに。

 それでも雑誌編集長として奮闘する速水の姿をみていると、自分の仕事なんて大したことない!?と思えてくるんですよね。

 どれだけ困難が降りかかってきても、前を向いて歩み続ける速水の姿に感動する物語です。

3. 最後は大泉洋さんに騙される

 帯にも書かれていますが、最後の最後で大泉洋さんに騙されます。

 ほんの数ページで物語が違う一面を見せるのは、さすがとしか言いようがありません。驚くこと間違いなし!?

 最後に

 塩田武士さんの小説『騙し絵の牙』。読めば、仕事に人生をかけるのもカッコいいかも!?と思える物語です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 関連記事

出会いがあれば別れもある!?伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』は浮気性の男性を描いた小説

(※『バイバイ、ブラックバード』表紙より)  人間関係を大切にしていますか。  私は仲のいい人との関係をおざなりにしているように思います。いつでも会えると考えているからでしょうが、いつかは別れがやって来るんですよね。   …

こだわりを持って生きている?小川洋子『人質の朗読会』は不思議なのに心に残る小説

(※『人質の朗読会』表紙より)  小川洋子さんの小説『人質の朗読会』。  地球の裏側にある村で反政府ゲリラの人質になった8名は、暇つぶしに朗読を始めますが、いつの間にか自分の過去と向き合い、真剣に朗読しあうようになりまし …

人とのつながりが元気の源!?柚木麻子『ランチのアッコちゃん』感想

(※『ランチのアッコちゃん』表紙より)  人とのつながりを大切にしていますか。  仕事や勉強、家事育児など私たちは忙しくなると、どうしても自分の世界に閉じこもりがちですが、それでは元気がなくなる一方です。  むしろ忙しい …

『子育てはもう卒業します』は自分らしく生きようと思える小説

(※『子育てはもう卒業します』表紙より)  垣谷美雨さんの小説『子育てはもう卒業します』。  3人の女性の青春時代から中年になるまでの人生を描いた小説です。読めば「子ども優先で生きるのはやめ、自分らしく生きよう」と思うこ …

悩むことに価値がある!?東野圭吾『真夏の方程式』は感動間違いなしの小説

(※『真夏の方程式』表紙より)  東野圭吾さんの小説『真夏の方程式』。  仕事で玻璃ヶ浦(はりがうら)にやってきた湯川准教授が小学五年生の恭平と出会い、思わぬ事件に巻き込まれる物語です。読めば感動すること間違いなし!? …

『ホワイトラビット』は何度も驚かされるミステリー小説

(※『ホワイトラビット』表紙より)  伊坂幸太郎さんの小説『ホワイトラビット』。  始めから終わりまで伊坂ワールド全開の物語です。読み始めれば、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなし!?  今回は『ホワイトラビッ …

伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』はこれまでの伊坂作品とはひと味違う短編小説

(※『ジャイロスコープ』表紙より)  伊坂作品の特徴といえば、至るところに散りばめられた伏線がすべて回収されていくところですよね。  これは短編でも長編でも同じです。読了後には必ずスッキリ感が味わえます。  しかし、『ジ …

犯人は鉄壁!?東野圭吾『聖女の救済』は聖女が隠し持つ決意に驚愕する小説

(※『聖女の救済』表紙より)  東野圭吾さんの小説『聖女の救済』。  子どもができないという理由で離婚を告げられた女性が完全犯罪を成し遂げようとする物語です。読めば聖女の胸に秘められた決意に驚愕すること間違いなし!?   …

愛情が足りない!?西加奈子『i(アイ)』は人の気持ちに寄り添いたくなる小説

(※『i(アイ)』表紙より)  人の気持ちに寄り添っていますか。  私は歳をとるにつれて、自分のことばかり考えるようになりました。東日本大震災の報道を見ても、どこか他人事です。  そんな私に人の気持ちに寄り添う大切さを思 …

毎日が勝負!?池井戸潤『ルーズヴェルト・ゲーム』は会社と野球部の逆転劇を描いた小説

(※『ルーズヴェルト・ゲーム』表紙より)  毎日、闘っていますか。  私は闘っていません。会社に行って「今」という時間をやり過ごしているように思います。目の前の仕事に追われて、流されている感じ。  しかし、池井戸潤さんの …