塩田武士『騙し絵の牙』は情熱と信念、そして野望を持たない人間に望ましい未来は訪れないことがわかる物語

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 情熱と信念、そして野望を持って生きていますか?

 私はあまり表には出しませんが、それらを持って毎日を過ごしているつもりです。しかし…。

 塩田武士さんの小説『騙し絵の牙』を読んで、それらを持たない人間に望ましい未来は訪れないことを再認識したんですよね。

 大泉洋さんをあて書きした主人公・速水輝也のように情熱と信念、そして野望をもって仕事をしていきたいと思える物語です。




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 雑誌の編集長として情熱と信念をもって仕事をする主人公

 では、あらすじから。

 物語の主人公は、出版大手の薫風社に勤める速水輝也。

 彼は『トリニティ』という雑誌の編集長をしていましたが、上司である相沢徳郎から赤字続きの現状が続くともって半年だと言い渡されました。

 速水はどうしても小説に関わりたいという想いで、警察署、地方裁判所を経て、現在の薫風社に転職してきました。

 そのため、何があってもトリニティを存続させようと情熱と信念をもって仕事に取り組んでいたのです。

 ところが、出版不況が続いている現状を打開する目処が立ちません。本や雑誌が売れにくい環境ばかりが目につきました。

 たとえば、新刊が出版されても、すぐに古本屋に並ぶ時代です。もちろん、どれだけ古本が売れても儲けには繋がりません。また、図書館も脅威でした。

 一方で、ネットやスマホの定着で、無料もしくは低価格で時間が潰せる遊びが溢れています。つまり、出版社と作家は追い詰められていたのです。

 しかし、速水を追い詰めていたのは、出版不況だけではありませんでした。

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 妻に離婚を言い渡されても雑誌を守ろうとする主人公

 家庭を顧みずに仕事に取り組んできたので、妻との関係が冷え切っていたんですよね。

 そのため速水は妻から離婚を言い渡されました。速水は小学6年生の娘のためにも現状を維持しようと提案しますが…。

 実は娘から離婚した方が良いと勧められたと言うのです。速水は泣き崩れそうになるのを何とか堪えましたが、ショックは隠しきれませんでした。

 それでも速水は、雑誌を存続させるために奮闘するんですよね。

 これまでも、部下の不始末の尻拭いをし、大物作家には頭を下げ続け、テレビマンには鼻であしらわれても雑誌を存続させるために必死で行動してきました。

 娘と離れることになった今も、そうした行動を続けます。

 これほどまでに速水が雑誌を存続させようとしていたのは、ある理由があったからです。その理由とは…。

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 情熱と信念、そして野望を持たない人間に未来がない

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、塩田武士さんの小説『騙し絵の牙』は、速水のように情熱と信念、そして野望を持たない人間には望ましい未来が訪れないことがわかる物語です。

 また、物語としてはラストに速水がこれまでとは違う裏の顔を見せます。その裏の顔が想像を上回るものだったので、帯に書かれていたように、大泉洋さんに驚かされたんですよね。

 とにかく、塩田武士さんの小説『騙し絵の牙』は、出版業界を取り巻く厳しい現状がわかる物語としても、大泉洋さんのユーモアあふれる言動に笑顔になれる物語としても、大どんでん返しに驚かされる物語としても楽しめるので…。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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