幸せなエンド・オブ・ライフを迎えるにはどう生きるべきか?

生き方

幸せなエンド・オブ・ライフ、すなわち幸せな死を迎えるために、どう生きるべきなのでしょうか。

私はこれまで死をテーマにした物語を多数読んできましたが、『エンド・オブ・ライフ』を読んで、気づけば死を意識しないように、むしろ遠ざけて生きていることに気づきました。

心のどこかで自分には死は関係のないものだと思い、今のままずっと生きていけると勘違いしていたんですよね。

スポンサーリンク

死は突然目の前に姿をあらわす

訪問看護士である森山文則さんが、身体の小さな異変に気づいたのは、2018年8月のことでした。

咳が止まらなかったので検査をすると、すい臓がんを原発とする肺転移だとわかります。

この時点でステージⅣ。予後は短ければ半年で、手術はできない状態でした。

森山さんはこれまで多くのがん患者を看取ってきましたが、まさか自分がという思いがありました。

48歳とまだ若く、高校生と小学生の娘がいたので、まだまだ死ねないという思いが湧き上がってきました。

そこで森山さんは、これまでがん患者が死を受容できるように心を砕き、残された時間を後悔のないように生きるよう導く仕事をしてきましたが、

「僕は生きることを考えています」と言って、これまで患者に接してきたのとは正反対に、死を受け入れることを拒みます。

こうして森山さんは、がんに感謝し、好きなことをして、好きなものを食べて、自然治癒力での寛解に望みをつなぐようになりました。

西洋医学の限界に気付いたからです。

スポンサーリンク

良い医師と出会えるかどうかで終末期の質は大きく変わる

森山さんが働いていたのは、京都で訪問医療を行なっている渡辺西賀茂診療所。

ここでは、患者の望みをできるだけ叶えようと奮闘する人たちが集まっていました。

37歳の木谷重美さんも、そんな彼らにサポートされた一人。

重美さんはステージⅣの食道がんで余命宣告を受けており、夫と小学五年生の娘と思い出を作るために退院し、

京都から愛知県にある知多半島の南端に潮干狩りに行くと決めました。

命の危険があるのでがん宣告される前の森山さんをはじめとする3名がついていくことにしましたが、

同行する費用は重美さんには請求せずに、すべて診療所が負担しました。

その理由を渡辺院長は、

「僕らは、患者さんが主人公の劇の観客ではなく、一緒に舞台に上がりたいんですわ。みんなでにぎやかで楽しいお芝居をするんです」

と言うんですよね。

こうして重美さんは、家族と最後の潮干狩りを楽しむことができたわけですが、

その一方で、患者を人間として扱わない医師も大勢います。

ある病院の男性医師たちは、腸閉塞でガスが溜まってパンパンになっている女性患者を取り囲んで、おむつをペリペリと剥がして足を開き、ガスが出るよう肛門に管を挿しこみました。

そして、「ガスは出たか?」「まだ出ないな」と言って眺めていたのです。

患者の目から涙が溢れても、相手を人間だと思っていないので、気がつきませんでした。

青山美智子さんの小説『木曜日にはココアを』では、良い人とのつながりが人生を切り開くキッカケになることがわかる物語が描かれていましたが、

青山美智子『木曜日にはココアを』は人とのつながりが人生を切り開くきっかけになることがわかる物語
人とのつながりを大切にしていますか? 私は結婚して子供もいるので、どうしても家族優先になってしまいがちですが、 青山美智子さんの小説『木曜日にはココアを』を読んで、今まで以上に人とのつながりを大切にしたくなりました。 人と...

良い医師に出会えるかどうかが、終末期の人生の質を決めるのだとわかり衝撃を受けました。

スポンサーリンク

人は生きてきたようにしか最後を迎えられない

こうして多くの終末期の患者と接してきた森山さんは、人は生きたようにしか最後を迎えられないことに気づきます。

キリスト教徒として信仰深く生きてきた61歳の篠崎俊彦さんは、すい臓がんになり、在宅医療をしていましたが、

がんによって揺れることなく、妻と子供たちと最後まで楽しく過ごしました。

その一方で、脊髄梗塞を起こし、24時間激痛に悩まされていた52歳の中山悟さんは、1歳の娘がいましたが、その娘に妻をとられたような感覚に陥っていました。

思い通りにならない身体に、家族を愛せない自分に、彼は全身で怒っていました。

そして、ある日。彼は自ら包丁で胸を三度刺します。

奇跡的に命を取り留めましたが、妻は自分では面倒が見れないと言い、そして離婚しました。

その数年後、彼は首を吊って亡くなりました。

浅田次郎さんの小説『おもかげ』では、人に愛情を注いできた主人公が多くの人から愛される物語が描かれていましたが、

浅田次郎『おもかげ』感想/愛される人と愛されない人のちがい
人から愛されていますか? 私はどちらかといえば愛されていると思いますが、 もし、家族からあまり好かれていない、友人もいない、自分のことをわかってくれる人が誰もいない… と感じているようなら、今すぐ生き方を変えた方がいいかも...

現実でも、人を愛してきた人は愛され、人に怒りをぶつけてきた人は、その怒りが自分に返ってくる…

つまり、人は生きたようにしか最後を迎えられないことがわかります。

スポンサーリンク

今を真剣に生きた人だけが幸せになれる

こうして多くの人たちの最後を看取り、自らもがん患者になり、寛解を否定された森山さんは、今を真剣に生きることが幸せになる秘訣だと気づきます。

持ち時間は少なくても質を変えることはできるからです。

同じ日は二度と繰り返しません。

だからこそ、将来を煩うことなく、今日を生きることに決めたのです。

そこで、ベッドの上でクスリ漬けになって寿命を伸ばすよりも、自分の好きな人と好きな場所で好きなものを食べて死ぬ選択をします。

もちろん、在宅医療をしたからと言って、幸せになれるとは限りません。

家族の誰もが働かなければ生活が成り立たない昨今、家に病人を抱えることは負担になります。

医療現場で働く看護師でさえ、「家で看取られたいですか?」と聞かれると、病院の方がいいと答えるそうです。

姥捨山に捨ててもらうのが理想だと答える人がいるほど、家族にも負担がかかります。

しかし、負担になっても一緒に過ごしたいと思ってくれる家族もいます。

それが実現するかどうかは、病気になった本人の生命状態と、介護する側の生命状態の両方で決まります。

『がんばらない成長論』の感想にも書いたように、互いに許し合える関係が築けるかどうかで決まるんですよね。

「自己否定」をやめれば幸せになれる!?頑張らずに成長する方法
仕事やプライベート、趣味など、何もかも上手くいかないのは「自分の頑張りが足りないからだ」と思っていませんか? 私はそう思っていましたが、実はそうではありません。『がんばらない成長論』を読んで考えが変わりました。 あまり頑張らなく...

そんな関係を築くためには、病気であろうとなかろうと、今を精一杯生きて、目の前の家族に、出来事に感謝していく…。

幸せなエンド・オブ・ライフを迎えるには、それしかないと気づかせてくれる一冊でした。

スポンサーリンク

まとめ

今回は、『エンド・オブ・ライフ』を参考に、どうすれば幸せなエンド・オブ・ライフを迎えることができるのか考えてきました。

100年も経てばほとんどの人がこの世からいなくなります。人生は長いようで短いものなのかもしれません。

だからこそ、今を精一杯幸せに生きることが大切です。

美味しいご飯が食べられること、好きな仕事ができること、あるいは生きていることそのものに感謝していくのです。

そうすることが、人生最後の日を幸せに迎える秘訣だと教えてくれる一冊でした。

おすすめ度:4.5

コメント

タイトルとURLをコピーしました