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 推理していますか?

 私はミステリーが好きでよく読んでいますが、あまり推理をせずに物語を追いかけてきました。

 しかし、東野圭吾さんの小説『どちらかが彼女を殺した』では推理せざるを得なくなったんですよね。容疑者である二人のどちらが犯人なのか最後まで明かされなかったからです。

 とはいえ、文庫本の袋とじにあるヒントを読んで何とか犯人がわかったのですが。

 恋人と親友に裏切られた女性の物語

 和泉園子は、佃潤一という売れない画家と出会い、付き合うようになりましたが、彼が園子の親友である弓馬佳代子と出会ったことで悲劇が起こります。

 佃は園子を捨て、佳代子と付き合うようになったからです。

 園子は自分を裏切った彼らのことが許せず、ある行動に出ようとしますが、そのことがきっかけで殺されてしまいました。

 ところが、園子が殺される前日に兄の康正に「お兄ちゃん以外、誰も信じられなくなっちゃった」という電話をしたことで事件が複雑になります。

 交通課に勤める康正が偽装工作をしたからです。彼は妹のことを何よりも大切に思っており、自分の手で犯人を捕まえ、殺そうと考えていました。

 そして偽装工作をした彼は警察に電話をしますが、やってきたのは…。

 加賀恭一郎が複雑に絡まった事件の真相に迫る

 加賀恭一郎でした。彼は康正が何か隠していることにすぐに気づきます。

 死亡推定時刻から考えると濡れているはずのない流し台が濡れていたり、園子はあまりお酒を飲まないのに空のワインボトルが置かれていたり、他のレシートはあるのにワインのレシートだけなかったりしたからです。

 そこで加賀は康正の行動を監視するかのように振る舞いました。何度も康正に電話をかけ、園子の部屋で会い、自殺ではなく他殺の疑いが濃いことを明らかにしていきます。

 加賀は康正の復讐を何とか阻止しようとしていたのです。

 ところが、康正は加賀の追求に屈することなく、むしろ彼からの情報を駆使して犯人探しを続けます。

 そしてついに犯人を二人に絞ることができました。佃と佳代子に辿り着いたのです。

 康正は二人を呼び出し、真相を明かそうとします。ところが、二人は園子が殺された日に彼女の部屋にやってきて殺そうとしたことは認めますが、思いとどまったと主張します。

 もちろん、そんな話が信じられるわけがありませんが、康正はどちらが犯人なのかわかりませんでした。

 そんな彼の前にまたしても現れたのが…。

 最後まで犯人が明かされないミステリー小説

 加賀恭一郎でした。彼はこれまでの調査と康正と佃たちの会話と行動から犯人を特定します。しかし、最後まで犯人の名前は明かさないんですよね。

 というわけで、読者である私たちが犯人を特定する必要があるわけですが、意識して読んでいないと特定するのが難しい構成になっています。

 私は文庫本の袋とじにあるヒントを読んで何とか犯人がわかりましたが、東野圭吾さんの小説『どちらかが彼女を殺した』は推理する面白さが味わえる小説なので、気になった方はぜひ読んでみてください。

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