webstation plus

rome_01

 この世界には3種類の人間が存在する。それは、「いてはいけない人」、「いてもいなくてもいい人」、そして「いなくてはならない人」だ。

 できることなら、「いなくてはならない人」「必要とされる人」になりたい――と、誰もがそう思うだろうが、私たちは得てして「いてもいなくてもいい人」になってしまう。リスクを怖れて新しいことに挑戦しないからだ。そして、挑戦しないだけでなく、評論家のように他人にあれこれ口出しするようになれば、「いてはいけない人」になってしまう。

 実際、こんなことをしていないだろうか。天井の電球が切れたとき、それを交換しようとせずに下から眺めて「あーだこーだ」と騒いでいることが。

 もっと具体的にいえば、新しいプロジェクトを始めるとき、失敗を怖れてはじめの一歩を踏みたがらず、前例ばかりに縛られて良い知恵が出せない。そればかりか、何よりも責任を取りたくない。そのくせ会議だけは何回も何十回も開き、分厚い企画書(仕様書)を作りたがる。――こんなことをしていては「いてはいけない人」と思われても仕方がないではないか。

 本書は、過疎高齢化により18年間で人口が半分に落ち込んだ「限界集落」を、年間予算たったの60万円で立ち直らせたスーパー公務員・高野誠鮮氏の成功物語である。高野氏は、限界集落でつくったお米をローマ法王に献上することでブランド化に成功するなど、数々の実績を作っていった。そのなかで、「いてはいけない人」たちを、次々と「必要とされる人」たちへと変えていった。

 では、どうやって変えていったのか。その方法は次の三つ。

  1. まずは徹底的に情報を伝える
  2. 1%でも可能性があるのなら、とにかくやってみる
  3. 失敗しても責任を追及しない

 私たちは実際に行動を起こすまでに「知→情→意」のステップを踏むといわれている。「知」とは知恵(=情報)のこと。まず耳や目から情報が入って「情」(=心)が動く。そして、「意」(=行動)につながっていく。そのため、「いてはいけない人」を「必要とされる人」に変えていくには、まずは徹底的に情報を伝えることが大切になる。

 企業が自分たちの商品を売るために、朝から晩までCMを流しているのもそのためだ。くりかえし同じ情報を与えることで、本当に心が動く人が出てくる。あのチョコを食べてみたい、あのビールを飲んでみたい――と。すると、本当に買う人が出てくるというわけだ。

 だから、高野氏は、やるべきことを村人たちに徹底的に伝えていった。「会議はやらない。企画書もつくらない。私たちがやるべきことは行動だ」「このまま手をこまねいて何もしなければ村は『自然消滅』してしまう。だから行動する必要があるのだ」「限界集落にはマイナス面だけでなくプラス面もある。そのプラス面を生かしていこう」――というように。

 とはいえ、口先だけでは誰もついてこない。そこで、高野氏は実際に行動を起こしていく。たとえば、「UFOで町おこしをしよう」と決めれば、世界を牛耳る大物政治家たち――レーガン大統領やサッチャー首相、ゴルバチョフ書記長宛に直筆の手紙を送る。すると、ゴルバチョフ書記長本人ではなかったが、ロシア大使館から手紙が返ってきたそうだ。

 あなたなら手紙を送ることができただろうか。やりもしないうちから、絶対に無理だと思い込んでいないだろうか。もし、そうだとしたら考え方を変えたほうがいい。たとえ1%でも可能性があるのなら、やってみなければ結果はわからないからだ。

 もちろん、失敗することもあるだろう。そんなときは、責任追及をしないこと。犯人探しをしたり、悪いのはあいつだと責め始めると、一歩も前へ進めなくなってしまうからだ。その代わりに、「どうすればその失敗を打開できるのか」、「マイナスをプラスに変えられるのか」に目を向けていこう。そうすれば、失敗を克服できるだけでなく、次々と新たな挑戦ができるようになるだろう。

 こうして高野氏は、「いてはいけない人」たちを次々と「必要とされる人」たちへと変えていった。もちろん、これは私たちでもできる。「徹底的に情報収集し、1%でも可能性があるのならとにかく挑戦する。たとえ失敗したとしても、すぐにリカバリー策を考える」ということを繰り返していけばいい。そうすれば、間違いなく「必要とされる人」になれるだろう。

 関連記事

「時間がないからできない」という言い訳で損する理由

 自分で決めたことを確実に実行していますか。私はできていません。「毎日ブログを書こう」と決めても、3日以内には諦めてしまい、言い訳をしています。  「仕事が忙しくて」「子育てもしないといけないし」「突然の予定が入ったから …

仕事ができる人とできない人の違いは「頭の使い方」にある

 私たちが働く環境は日々厳しくなっています。下図は、失業率(青色)と非正規雇用労働者の割合(赤色)の推移を示したものですが、2010年以降、失業率は減少傾向にあるものの、非正規雇用労働者の割合が増加していることがわかりま …

「やりがいのある仕事」を選んで痛い目をみないように

 「やりがいのある仕事がしたい」と考えている人は多いのではないでしょうか。私もそのひとりでした。しかし、やりがいのある仕事に就けたからといって、幸せを感じられるとは限りません。なぜなら、やりがいのある仕事に就くと、常に厳 …

夢の実現に必要なのは「目標/計画」よりも「ストーリー思考」!?

(※『ストーリー思考で奇跡が起きる』表紙より)  「どうしても実現したい夢」が見つかったとき、どうしていますか?  「事前準備をしてから」「もう少し社会経験を積んでから」「十分なお金を確保してから」…なんて、行動すること …

no image
2030年には50%の仕事がなくなる/スマートマシンと共存する方法

 「スマートマシン」という言葉をご存知でしょうか。スマートマシンとは、自己学習機能を備え、自立的に行動する電子機械のことを指しています。人口知能を実装したロボットやドローン、自動走行車などがそうです。  このスマートマシ …

お金よりも「つながり」を大切に/『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』

 「努力すれば幸せになれるのか」――これが本書のテーマである。そして、その答えは「No!」。なぜか。  結論からいえば、私たちの能力の大半は遺伝によって決まっているからだ。走るのが得意じゃない人が、どれだけ走る練習をした …

「不労所得」という名の花見酒には毒がある

 落語にこんな話がある。酒屋の番頭からお酒を借りて商売をしようとした二人の幼馴染がいた。花見シーズンだったので、花見の場所に行きさえすれば必ずお酒が売れると二人は考えていたのである。酒飲みは、酒がなくなるとすぐに飲みたく …

人気の吉本芸人が考える「売れる秘訣」とは!?

 「お笑い芸人になりたい」「小説家になりたい」「ハンドメイド作家として活躍したい」…などなど、夢を実現するために挑戦している人は大勢います。しかし、そのなかで成功できるのは、ほんの一握りの人たち。  では、成功できる人と …

なぜ、優秀な社員が「追い出し部屋」に追い込まれるのか

 『切り捨てSONY』を読み終えるまでは、「リストラ部屋(追い出し部屋)に追いやられた人=仕事ができない人」だと思っていました。  しかし、そうではない人たちも大勢いるんですよね。すなわち、優秀な人たちも「リストラ部屋」 …

仕事が原因で「もう死にたい…」と思わないために必要なもの

 日本における自殺の統計情報を見てみると、男女差がとても大きいことがわかります。下図がそれなのですが、パッと見ただけで大差があることがわかりますよね。実は、男性の自殺率は女性の2倍以上もあるのです。  では、なぜ女性より …