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 科学的で論理的な物語はお好きですか?

 私は技術者として働いているので、毎日のように科学的で論理的な会話を繰り広げていますが、東野圭吾さんの小説『探偵ガリレオ』は、そんな私でも「すごい!」「面白い!」と思えるトリックが多数用意されています。

 もちろん、科学の知識がなくても楽しめるので、科学が好きな方にも、そうでない方にもおすすめの物語です。

 「ガリレオ」と呼ばれる理工学部の准教授が主人公の物語

 物語の主人公は、帝都大学理工学部の准教授・湯川学。彼は殺人事件とは縁のない研究者として仕事に没頭していましたが…。

 大学時代の同級生で、バトミントン部で共に過ごした警視庁捜査一課の草薙俊平が難事件をもって彼の研究室を訪れます。

 今回、草薙が持ち込んだ事件は、自動販売機の周りで毎日のように騒いでいた若者のひとりが、突然、後頭部から炎が上がり、焼死してしまったというもの。

 自動販売機の近くに置いてあったガソリン入りのポリタンクが燃えていたことから、「プラズマの自然発生による火災では?」と報道されていましたが…。

 この話を聞いた湯川は、「なぜ発火したのか?」にすぐに興味を持ち、草薙に現場に連れていけと言い出しました。

 そして、現場に着いた湯川は、プラズマが原因ではないと断言します。さらに、事件の日に「空に赤い糸を見た」という少女の話を聞いた湯川は…。

 科学的な視点で事件を解決するガリレオ

 草薙を残して、一人で行動するようになりました。そして、その三日後には、草薙の目の前で同じ現象を再現してみせます。

 このトリックの謎は実際に本書を読んでもらうとして、トリックを見破る湯川の行動は、とても合理的で驚かされます。

 また、トリックそのものも「本当に出来るの?」と思ってしまうものばかりですが、説得力のある説明を読むと、ついつい納得してしまうんですよね。

 ちなみに、『探偵ガリレオ』は5編の短編で構成されているので、このようなトリックが5回も楽しめます。

 ここで、他の4編について簡単に紹介しておくと、

・金属製のマスクとそっくりの死体が池から発見される
・風呂場で発見された遺体の一部がなぜか壊死している
・海水浴場から黄色い火柱が上がり女性が死亡する
・小学生の男の子が幽体離脱をして殺人事件の証拠を目撃する

 です。どれも科学的な視点で解き明かされるので驚きますよ。

 これからも続くガリレオシリーズの第一弾

 東野圭吾さんの小説『探偵ガリレオ』は、『容疑者Xの献身』や『真夏の方程式』へと続くガリレオシリーズの第一弾です。

 福山雅治さん主演でドラマ化や映画化もされている人気シリーズの第一弾なので、気になった方は、ぜひ『探偵ガリレオ』から読み始めてみてはどうでしょうか。

 湯川の科学的で論理的な推理が楽しめますよ。

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