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 学生ってバカですよね。私の知り合いの大学教授も言っていましたが、視野が狭いので簡単に騙せます。

 しかし、学生たちは、何ひとつ経験していないクセに、何でもできると勘違いしているんですよね。そんな学生たちのバカなノリを描いた小説が伊坂幸太郎さんの『砂漠』。

 歳をとったせいか、あまりのバカさ加減に読んでいて疲れてしまいました。

 世間を知らないからこそ鳥瞰型でいられる

 物語の主人公・北村は、飲み会でバカ騒ぎをする同級生たちを「バカだなぁ」と冷めた目で眺めていました。

 しかし、そんな北村もバカのひとり。そうやって冷めた目で同級生を眺めるのは、自分は何もかも知っていると勘違いしているからです。

 たとえば、大勢の人が苦しんでいるのに、ひとりだけ助けるなんて意味がないとか、偽善だなんて言う人がいますよね。

 そんな人は、どんな出来事に遭遇しても、言い訳を並べて行動しません。世間知らずの評論家なんですよね。

 だからこそ、何もかもわかったような顔をして鳥瞰型でいようとするのですが、そんな北村に向かって同級生の西嶋は…。

 無茶苦茶な理論を並べて行動を起こしてく

「あのね、俺たちがその気になればね」「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」

 なんて無茶苦茶な理論を並べて行動を起こしていきます。

 たとえば、とてつもなくボーリングが下手だった西嶋は、同級生からバカにされますが、笑われても恥ずかしがることなく堂々と振る舞います。

 それだけでなく、その次の日も、また次の日も、本を片手にボーリング場に行って練習するんですよね。なぜなら、自分を信じているから。

 多くの人は、いざという時がくれば行動できると甘く考えたり、ボーリングが上手くなったところで…なんて上から目線で見下したりするだけで、実際に行動を起こしません。

 それは失敗を恐れているからですが、そんな考えだからこそ、何も出来ないままなのです。

 西嶋のように下手でも、失敗しても、笑われても気にすることなく堂々と行動することが大切なんですよね。

 知ったかぶりをして安心するな

 このように学生時代は街で過ごしているのに、まるで社会という砂漠を知っているかのように振舞っている学生が大勢います。

 そんな物語を描いた小説が『砂漠』なのですが、西嶋という独特の人物を登場させることで、砂漠での生活を知らなくても街でやれることを必死にやればいいと思わせてくれます。

 知ったかぶりをして安心するのではなく、今出来ることを全力でやらなければ何も変わらないことを教えてくれるんですよね。

 ただし、学生のバカなノリが描かれているので、私は読んでいて疲れてしまいました。学生時代の雰囲気を味わいたい…という方におすすめの小説です。

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