伊坂幸太郎『死神の浮力』感想/サイコパスに立ち向かえるのはサイコパスだけ?

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サイコパスをご存知ですか?

100人に1人ほど存在する良心や罪悪感をもたない自己中心的な人たちで、簡単に人を騙したり、攻撃したり、ひどい場合だと殺人を犯したりします。

そんなサイコパスは現実社会では犯罪者として逮捕されるケースも多いのですが、

伊坂幸太郎さんの小説『死神の浮力』を読んで、サイコパスに立ち向かうのは難しいことがわかりました。

死神のような圧倒的な強さを誇る存在を味方につけないと、徹底的にやられてしまうんですよね。

おすすめ度:3.5

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こんな人におすすめ

  • 前作『死神の精度』が好きな人
  • サイコパスと死神の戦いが気になる人
  • 圧倒的な悪に復讐する物語が好きな人
  • 伊坂幸太郎さんの小説が好きな人
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あらすじ:サイコパスに娘を殺された主人公の物語

物語の主人公は小説家の山野辺遼。

彼の娘はサイコパスである本城崇に連れ去られ、殺されました。

しかし、裁判では無罪判決が下されます。本城が弱みを握っている人間に裁判で証言させるなど、準備に余念がなかったからです。

さらに、本城は娘に毒を注射したシーンを山野辺夫婦に送りつけます。

それだけでなく、テレビに出演して山野辺夫婦を煽るような言動を繰り返しました。

サイコパスである本城は娘を殺すだけでは満足できず、山野辺夫婦を徹底的に追い詰めようとしていたんですよね。

まるでゲームを楽しむかのように。

そこで、山野辺夫婦は娘の敵討ちをする決意をしますが…。

そんな彼らの前に死神の千葉が現れます。

千葉は「本城が潜伏しているホテルの場所を知っている」といって山野辺夫婦と接触し、彼らと一緒に行動するようになりました。

とはいえ、千葉は山野辺夫婦を守るために接触したのではありません。

あくまでも任務で、山野辺遼に「死」をもたらすためにやってきたのです。

ところが、千葉のおかげで本城が用意していた多くの罠をすり抜けることができました。

こうして、本城のもとにたどり着いた山野辺夫婦は…。

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サイコパスだけが悪意をもっているわけではない

この続きは実際に読んでもらうとして、この物語には、サイコパスである本城以外にも、悪意をもった人たちが多数登場します。

たとえば、マスコミもそうです。

「娘を殺された小説家」という話題になりそうなニュースとあって、連日多くのマスコミが山野辺夫婦の家の前に群がりました。

彼らは山野辺夫婦の気持ちなんてまったく考えていません。

それだけでなく、山野辺夫婦が取材を受けないことがわかると、娘の名前が刻印された饅頭を窓に投げつけるなど悪意に満ちた行動をとります。

もちろん、一般人も似たようなものです。嫌がらせの電話をしたり、手紙を送ってきたりしました。

そんな悪意のある人たちの姿をみていると、サイコパスだけが悪いのではなく、むしろチャンスがあれば誰もがサイコパスのように振る舞おうとしているように思えてきたんですよね。

自分たちが優位な立場にあることを知ると、正義を振りかざして大勢の人たちが参加してくるわけです。

つまり…。

サイコパスに立ち向かうのは難しい

サイコパスに立ち向かうには、サイコパスだけでなく、途中参加してくる大勢の人たちとも対峙する必要があることがわかります。

この物語では、死神が味方したことで状況が好転しますが、サイコパスに立ち向かえるのは、サイコパスだけなのかもしれません。

というわけで、伊坂幸太郎さんの小説『死神の浮力』は、サイコパスに立ち向かうのがどれほど難しいことなのかがよくわかる物語です。

それだけでなく、サスペンスとしても、最後に驚きとスッキリ感が味わえる物語としても、死神シリーズの続編としても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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