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 「生きている理由なんてもとからないんだ」と決めつけている死神と、生きる意味を追い求める人間たち。その対比を通して人間らしさとは何かを描いた小説が伊坂幸太郎さんの『死神の精度』です。

 人はどんなことにでも意味を求めますが、特に生きている意味を求めたくなりますよね。私もこの小説を読んで生きている意味を考えたくなりました。

 誰もが自分の行動に意味を求めている

 私たちはどんなことにでも意味を求めていますよね。仕事でも遊びでも恋愛でも。

 『死神の精度』に登場する主人公たちもそうです。電機メーカーで苦情処理係をしている藤木は、彼女を指名して苦情をいう男性が、なぜ自分を指名するのか知りたいと思い、見ず知らずの男性に会いに行きます。

 男気溢れる藤田の舎弟は、正義は必ず勝つと信じたくて藤田を応援し、男前の萩原は、外見の良さを隠して内面だけで彼女を作ろうとします。

 幼い頃のトラウマを引きずって人殺しをした森岡は、犯した罪の正当性を探し求め、千葉を死神だと見抜いた老女は、人間にとって死がどれほど大切なものなのかを死神に教えます。

 このように誰もが自分の行動に意味を求めていますが、それは人間が考える生き物だからです。

 死神の千葉は、年貢の納め時だと言われると「年貢制度は今でもあるのか?」と言葉を額面通りに受け取りますが、私たち人間はニュアンスでわかりますよね。

 それはどんなことでも考えて、意味を求めているからです。物事を考えようとしない死神と、意味を追い求める人間の対比で、それがよくわかるように構成されているんですよね。

 とはいえ、一番大きな問題については考えないようにしていますよね。

 人はいつかは死ぬ

 当たり前ですが、私たちはいつか死にます。しかし、明日死ぬかもしれないなんて考えていたら、怖くて生きてられませんよね。

 とはいえ、まったく死について考えなければ死神と同じ。目の前のことに流され続け、生きる意味を見失ってしまいます。

 そんな私たちに、老女の言葉が心に突き刺さるんですよね。たとえば、彼女は「人はみんな死ぬんだよね」と言った後、

「幸せか不幸かなんてね、死ぬまで分からないんだってさ」
「生きていると何が起こるかなんて、本当に分からないからね」
「一喜一憂しても仕方がない。棺桶の釘を打たれるまで、何が起こるかなんて分からないよ」
「実際さ、幸せだと思ったおじさんも今は、奥さんが新興宗教にはまっちゃて、借金作ってるみたいだし。無敵の政治家が年取ってから、証人喚問に呼ばれたり、有名なスポーツ選手が大きな事故を起こすのを見ていると、ほんと、何が起こるか、死ぬまで分かんないって感じ」

 と、死ぬまで幸せか不幸かはわからないと言います。彼女の言葉にハッとさせられますよね。

 今からどう生きる?

 ここまで紹介してきたように、『死神の精度』は、死をテーマにした物語です。

 あえて千葉に生きる意味はないと言わせ、他の登場人物たちが自分で生きる意味を見出すという構成で描かれているので、彼らが考える「生きる意味」が浮き彫りになってくるんですよね。

 つまり、生きる意味を決めるのは、他の誰でもない自分自身。誰に何を言われようと、自分らしく生きることが大切なんです。

 さらに言えば、生きる意味を見出さなければ、どれだけ長生きしてもムダだということ。その人生は時間の浪費でしかありません。

 あなたは今からどう生きるつもりですか?

 ◆

 伊坂幸太郎さんの小説『死神の精度』。なぜ自分は生きているのだろう…と考えたくなったら、ぜひ読んで欲しい一冊です。

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