海堂尊『コロナ黙示録』は安倍政権とコロナ対策の課題が浮かび上がってくる物語

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政治に興味を持って生きていますか?

私は政治に口を出すのがあまり好きではなく、いわゆるネトウヨやパヨクと呼ばれる人たちから距離をとって生きていますが、

海堂尊さんの小説『コロナ黙示録』は安倍政権とコロナ対策の課題が浮き彫りになり、現実と照らし合わせながら興味深く読めました。

もちろん、反対意見にも目を通す必要はありますが、論理的な説明が展開されるので、これまでよりも政治に興味が持てたんですよね。

おすすめ度:4.5

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こんな人におすすめ

  • 田口・白鳥シリーズが好きな人
  • 安倍政権のダメっぷりを振り返りたい人
  • コロナをテーマにした物語に興味がある人
  • 海堂尊さんの小説が好きな人
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あらすじ:無理難題を押し付けられる田口先生の物語

物語の主人公は、愚痴外来でお馴染みの田口公平。田口・白鳥シリーズの最新作です。

彼は今回も高階学園長に呼び出され、無理難題を押し付けられました。

しかも、今回はあの白鳥から直接、帝国経済新聞のウェブサイトに医療エッセイを連載しろと言われます。

エッセイのタイトルは「イケメン内科医の健康万歳」というものでしたが、なぜか文章の半分は白鳥が書くと言い出しました。

こうして謎のエッセイを書くことになった田口先生でしたが、その連載はすぐに終わりを迎えます。

白鳥が書いた文章が、安倍政権をこき下ろす内容だったからです。

これで白鳥の無理難題は終わりを迎えたかに見えましたが、クルーズ船でコロナが蔓延したことで田口先生に災難が押し寄せてきます。

白鳥の計らいで東城大学附属病院のコロナウィルス対策本部委員長に任命された田口先生のもとに、クルーズ船のコロナ患者が運ばれてくることになったからです。

そこで田口先生は…という物語が楽しめる小説です。

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感想①:安倍政権の課題を浮き彫りにする物語

あらすじで白鳥が安倍政権をこき下ろす内容を書いたと紹介しましたが、

この小説では、安倍政権の課題を時系列に浮き彫りにしていく構成をとっています。

そのため、安倍政権が好きな人(=作中ではネトウヨと記載)からは低い評価がつけられる物語だと思いますが、

物語とリンクしながらこれまでの振り返りが出来たので、私は興味深く読めました。

ここで、クルーズ船でコロナが蔓延する前までの安倍政権の課題をいくつかあげていくと、

  • 「桜を見る会」で安倍首相が公職選挙法違反を追及されなかったのは、検察のトップにお友達である黒川検事長がいたから
  • 安倍政権の自慢は外交と経済の実績ですが、外交はカネをばら撒くだけで実質的な成果はなし(米国には軍事費を始め、搾取されっぱなしだし、国民の悲願、北方領土返還問題は棚上げで協議入りすらできず、北朝鮮の拉致問題は解決の糸口もつかめていません。その代わりに嫌韓の風潮を煽って特定の人たちから人気取りをすることに…)
  • 森友学園という怪しげな学校法人に、不正な国有地払い下げをするために首相夫人が口利きした疑惑を国会で追及された安倍首相は、「私や妻が関与していたら首相を辞める」と啖呵を切りましたが、理財局の担当課に首相夫人の口利きの証拠が残っていました。ある音楽学校が正当な価格8億円で敷地にしたいという依頼をしたのに却下され、夫人の口利きで1億円で払い下げられたのです。慌てた財務官僚は現場の担当事務官に指示をして、当該箇所を丸ごと削除させました。そしてメモやFAXは公文書ではないという屁理屈を閣議決定しました。しかし、その一年後、削除前の文書がスクープされ、その五日後に実際の改竄作業にあたった担当事務官が自殺をしました。
  • 自民党内でも安倍政権の横暴に反発する議員が現れましたが、参院選で対抗馬を立てられ、通常の10倍の選挙資金1億5千万円を投入してその議員は落選に追い込まれました。
  • NHKは安倍政権べったりの偏向放送。国会での答弁は支離滅裂で、相手の言葉尻を捕らえて野次るだけなのに、夜のニュースでは編集されて、立派な答弁に見えます。
  • 安倍政権では黒検事長が検察のバックにいるため何をしても起訴されず、スキャンダルになりませんでした。その黒川検事長が定年を迎える直前に、定年延長を無理やり閣議決定したのです。
  • 安倍首相は夫人に年間三千万円の人件費をかけて首相公邸連絡調整官を5名つけていました。名称を内閣総理大臣夫人付に変えてです。明らかに公人でしたが、私人だと言い切りました。

これらの課題をまとめると、政府、霞が関、検察が一体となって犯罪隠蔽行為を遂行したことになります。日本は無法な独裁国家になってしまったのです。

それでも安倍政権が大事に至らなかったのは、強力にメディアをコントロールしていたからでした。

もちろん、安倍政権だけでなく、小泉政権にも問題はありました。

  • 小泉政権がやったことは、新自由主義という規制の撤廃でした。竹中平蔵から1人の大富豪と999人の貧乏人を産む政策だと聞かされていた小泉純一郎は、人気があったにもかかわらず二期で首相の座を降りました。
  • 新自由主義は中南米では軍の圧力によって終わりを迎えるのが一般的でしたが、軍が動かせない日本では、オリンピックを開催してうやむやにして終わらせるつもりでした。

一方、百田尚樹さんの小説『カエルの楽園』では、この物語とは正反対の立場で、中国から日本が乗っ取られるであろう未来が描かれていましたが、

『コロナ黙示録』では事実がベースになっているので、説得力があり、真実味がありました。

もちろん、すべてを鵜呑みにするのは問題ですが…。

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感想②:コロナ発生から現在までの流れを振り返ることができる

先ほど紹介したような多くの課題を抱える安倍政権でしたが、コロナという最も大きな課題に直面します。

コロナが日本で話題になったのは、クルーズ船の乗客がコロナにかかったことが始まりでした。

ここからの流れを『コロナ黙示録』に従って書いていくと、

コロナ対策という名目でクルーズ船に送り込まれたのが、不倫をしていた大坪寛子審議官です。

彼女はマスクもつけずに飲食禁止の作業エリアでスイーツやコーヒーを持ち込んで食べるなど、問題行為を繰り返しました。

このような行為がまかり通るほど、クルーズ船の対策は杜撰だったのです。

この杜撰な状況をYouTubeにアップしたのが、岩田健太郎神戸大学教授です。

彼は、日本語と英語の二ヶ国語で動画をアップし、クルーズ船の処理は公衆衛生的にメチャクチャだと訴えました。

とはいえ、どれだけクルーズ船でコロナ対策を綿密にやったところで意味はありませんでした。

中国政府が中国人の団体旅行を禁止したにも関わらず、安倍政府は中国人入国を禁止しなかったからです。WHOが警鐘を鳴らしても無視しました。

すべてはオリンピックを開催するためです。そこで、安倍政府はPCR検査をしないで見かけだけコロナ患者を減らす方針を選びました。

その結果、コロナが蔓延して、北海道が緊急事態宣言を出します。

慌てた安倍首相は、全国で同じことをしようと考えましたが、

経済が止まると父親を含む多くの人たちから怒られるため、経済に影響を与えない学校だけ止めることにしたのです。

もちろん、このような政策ではコロナ拡大は止められません。そこで、小池都知事が東京で緊急事態宣言を出します。

しかし、小池都知事の行動は勝手が過ぎると安倍総理は怒り、「何事も国と相談して決めること」という姑息な一文を法律に入れました。

とはいえ、この背景には多額の献金を受け取っているパチンコ業界の自粛を外そうとする思惑があり、この事実をネットにすっぱ抜かれます。

そして、安倍のマスクの登場です。

医療現場で喫緊に必要な人工呼吸器とワクチンや治療薬開発費を合算したものとほぼ同額の500億円をかけて、マスクを全国民に配布しました。

残念ながら使っている人を見かけたことはありませんが…。

一方で、このままでは経済がまわらなくなることを恐れた安倍政権は、メディアを使ってコロナは怖くない、自粛しなくても平気だよというおバカな若者のメッセージを何度も取り上げるようになります。

さらに、安倍政権の補完勢力になっている大阪維新の会は、医療現場の人員を削減しておいて、コロナ問題が出ると態度をころりと変え、あたかも医療の守護神であったかのように振る舞いはじめました。

挙げ句の果てに雨ガッパを提供して欲しいと呼びかけるなど、センスがなさすぎて唖然とする行動を取り始めます。

ちなみに、こうした日本の対応の悪さに、海外からは厚生労働省の信頼がガタ落ちになりました。

仲良しのアメリカにすら日本では適切な対策がされず公衆衛生のデータも信用できないとバッサリ斬られ、在留米国人に帰国命令が出たのです。

…というように、安倍政権のダメさとともにコロナが蔓延していく姿が描かれています。

山崎豊子さんの小説では、『運命の人』など多くの作品で事実に基づく物語が描かれていますが、

『コロナ黙示録』では、今まさに起こっている問題が事実とともに描かれていたので、最後まで興味を持って読むことができました。

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感想③:本当にコロナは怖くないのか?

とはいえ、日本では海外ほどコロナが広まっているわけではありません。

その理由は定かではありませんが、もちろん政府の対応が良かったからではなく、

検査自体が少ないことや、欧米のようにキスハグをする習慣がなかったり、手洗いをきっちりする習慣を持っていたことが良い方向に働いたのかもしれません。

また、コロナが発覚せずに亡くなっている人たちが多い…という理由も考えられます。

本書では速水がコロナに罹る姿が描かれていますが、無症状で、PCR検査にもひっかからず、念のためにした肺の検査で異常に気付き、コロナであると診断されたのです。

これがコロナの恐ろしさだとすると、多くのコロナ患者が肺炎などの別の病名で亡くなっている可能性があります。

だからこそ、海堂尊さんがこれまで田口・白鳥シリーズでAi(CTやMRIによる死亡診断)の必要性を訴えてこられたわけですが、

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その必要性が改めて浮き彫りになったように思います。

経済を回すためにGoToトラベルなども始まっていますが、PCR検査をせずにコロナで亡くなっている人たちが多い可能性を考えると、

「本当にコロナは安全なのか?」という大きな問いに、これから直面することになるのかもしれません。

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まとめ

今回は、海堂尊さんの小説『コロナ黙示録』のあらすじと感想を紹介してきました。

安倍政権とコロナ対策の課題が浮き彫りになる物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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