木崎みつ子『コンジュジ』は虐待を受けた人が苦しみ続ける理不尽な社会が描かれる物語

おすすめ小説

この世界は理不尽で溢れていると思いませんか?

私は子供がいるので、子供社会の理不尽さに嫌気がさしていますが、

木崎みつ子さんの小説『コンジュジ』を読んで、改めて日本は虐待を受けた人が苦しみ続ける理不尽な社会だと気づきました。

暴力を振るった加害者はあまり苦しまずに、振るわれた被害者が苦しむ社会が出来上がっているんですよね。

おすすめ度:3.0

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こんな人におすすめ

  • 父から虐待される少女の物語に興味がある人
  • 妄想することでなんとか生き延びる主人公の物語を読んでみたい人
  • 心の傷は簡単には癒えない理由を知りたい人
  • 木崎みつ子さんの小説が好きな人
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あらすじ:父から虐待される少女の物語

物語の主人公は31歳の正木せれな。

せれなの母は、彼女が小学生のときに、「ごめんね」の書き置きもなく、通帳とキャッシュカードをしっかり持って家を出て行きました。

父が長年勤めたホテルを解雇されたので、ケンちゃんという浮気相手と出ていったのだと思われましたが、

そのことを知った父は手首を切りました。

死ぬほどの怪我ではありませんでしたが、伯母さんはそんな父に何時間も説教をして追い詰めます。

その効果がどれほどあったのかは分かりませんが、父は再就職先を必死に探し、せれなとの新しい生活をスタートさせました。

ところが、新しい生活を始めて半年も経たないうちに、父は21時を過ぎても帰って来ないことが多くなり、

さらに突然、ブラジル人のベラさんを新しいお母さんだと言って連れてきます。

しかし、そのベラさんも家を出ていったので、父が目をつけたのは…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:子供を虐待する親の姿に衝撃を受ける

あらすじでも紹介しましたが、父は母に逃げられ、ベラさんにも逃げられました。

そこで、娘のせれなに手を出します。

まだ、ベラさんが家にいたときに、ブラジャーをしていなかったせれなのために、父が買いに行こうと言い出したことが始まりでした。

突然、せれなの胸を片方ずつ鷲掴みにして、「これくらいの大きさみたい」とベラさんに言ったのです。

このときは、ベラさんが父の頬にビンタをして、「女の胸に触るな」と言ってくれましたが、

ベラさんが家から出ていくと、胸を触ったり、足を乗せたり、お尻を触ったりしてきました。

そしてある日。とうとう手を出してきます。その日から、その行為は何度も繰り返されました。

町田その子さんの小説『52ヘルツのクジラたち』でも、子供に暴力を振るう母親の姿に衝撃を受けましたが、

町田その子『52ヘルツのクジラたち』は困っている人の心の叫びを聞き取れる人間でありたいと思える物語
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この小説では、娘に手を出す父親の姿が描かれていたので、心がどんよりしました。

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感想②:妄想することでなんとか生き延びる主人公

そんな父からの理不尽な暴力に耐えるために、せれなは妄想の世界へと旅立ちます。

彼女が11歳のときに、たまたま点けていたテレビの音楽番組で、四人組バンド「The Cups」の曲が流れ、

メインボーカルであるリアンに恋をしたのです。

このとき、リアンはすでにこの世にいませんでしたが、せれなは彼のアルバムと雑誌を買って夢中になって曲を聴き、写真を眺めるようになりました。

この日から彼女は、リアンとの妄想の世界に生きるようになりましたが、

父に犯されてからは、より一層、現実よりも妄想の世界を拠り所にします。

リアンと一緒にバカンスに出かけたり、ヨーロッパツアーに同行したりする妄想を膨らませました。

宇佐美りんさんの小説『推し、燃ゆ』では、推しを応援することで現実逃避する主人公の物語が描かれていましたが、

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現実逃避していませんか? 私は現実逃避するのが得意ではないので、すぐに悩みを解決したがりますが、 宇佐美りんさんの小説『推し、燃ゆ』を読んで、現実逃避する主人公の苦しみが伝わってきました。 それだけでなく、推しを応援したく...

この小説では、推しとのラブロマンスを妄想することで、何とか生き延びる主人公の物語が描かれていました。

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感想③:心の傷は簡単には癒えない

さて、この小説では、「虐待で傷ついた心は、簡単には癒えない」をテーマに描かれているように思います。

父から虐待を受けていたせれなは、ある出来事がきっかけで、父から離れて暮らすようになりましたが、

今度はリアンの代わりに、父が妄想の世界に現れて彼女を苦しめました。

過去の出来事がフラッシュバックしたので、拒食症になったり、過食症になったりします。

それだけでなく、父から虐待を受けていたことを知った伯母から「このこと、外では絶対にしゃべりなや」と言われたり、

伯父も「魔が差したんやろ」で片付けたりと、誰もせりなの心に寄り添ってくれませんでした。

警察にも、学校の先生にも相談できなかったせれなは、自分で自分を責め続けていたんですよね。

東野圭吾さんの小説『白鳥とコウモリ』では、犯した罪と与えられる罰との間に大きな隔たりがあることがわかる物語が描かれていましたが、

東野圭吾『白鳥とコウモリ』は犯した罪と与えられる罰には大きな隔たりがあることがわかる物語
今の日本では、犯した罪と与えられる罰に納得感があると思いますか? 私はこれまでこのブログでも書いてきたように、少年法に反対していますが、 東野圭吾さんの小説『白鳥とコウモリ』を読んで、改めて犯した罪と与えられる罰との間には大きな...

この小説では、虐待を受けた被害者が苦しみ続ける姿に心が痛みました。

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まとめ

今回は、木崎みつ子さんの小説『コンジュジ』のあらすじと感想を紹介してきました。

暴力を振るった加害者ではなく、振るわれた被害者が苦しみ続ける現実がわかる物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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