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 嫌な出来事ってありますよね。しかし、その嫌な出来事も捉え方を変えれば、プラスになるとしたら…。

 川口俊和さんの小説『コーヒーが冷めないうちに』を読めば、「捉え方ひとつで人生は大きく変わるかも!」と思えてきます。

 過去に戻れるとしたら戻りたい?

 物語の舞台は人気のない路地裏にある喫茶店。カウンターに三席、二人がけのテーブル席が三席しかない小さな喫茶店でしたが、少し不思議な体験が出来る場所でした。

 その体験とは過去に戻れるというもの。

 ただし、過去に戻っても現実を変えることは出来ません。それだけでなく、過去に戻るには幽霊が座っている席に座る必要があり、その席に座れたとしても、過去に戻れるのはコーヒーが冷めるまでの短い時間だけで、席を立って移動することもできません。

 しかも、過去に戻ると冷める前にコーヒーを飲み干さなければ、自分が幽霊になるというリスクつき。

 それでもリスクを冒してまで過去に戻ろうとする人たちがいるんですよね。

 なぜなら…。

 過去に戻ることで得られるものがある

 自分を冷静に見つめることが出来れば現実は変えられなくても未来は変えられるからです。

 アメリカに行くという理由で彼氏に振られた二美子はプライドが邪魔をして、なぜ自分の元を去っていくのか彼氏に聞くことができませんでした。

 夫が若年性アルツハイマーになった高竹は傷つくことを恐れて他人のフリをし、家から飛び出して自由に生きようとした平井は自分の代わりに家を継いだ妹を避けていました。

 そんな彼らが変えられない過去に戻ったのは、自分を冷静に見つめ、相手が何を思っていたかを知るためでした。

 そして実際に過去に戻った彼らは、まるで生まれ変わったかのように未来に向かって歩み始めます。それは…。

 心が変われば過去も未来も変えられる

 現実は変わらなくても、彼らの心が変わったからでした。物事にきちんと向き合い、自分の嫌なところもダメなところも受け入れて前に進もうとしたからなんですよね。

 そんな前向きな気持ちになれる小説が川口俊和さんの『コーヒーが冷めないうちに』。現実と向き合ってないなぁ…と感じているようならぜひ読んでみてください。

 きっと今からやり直そうと思えますよ。

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