カズオ・イシグロ『クララとお日さま』は人間らしさとは何か?と問いかけられる物語

おすすめ小説

人間らさしとは何だと思いますか?

私は、目的をもって行動することだと考えていましたが、

カズオ・イシグロさんの小説『クララとお日さま』を読んで、他人を思いやる心ではないか?と思うようになりました。

人間の少女に尽くし続けるAIロボットに感動できる物語だったんですよね。

おすすめ度:4.5

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こんな人におすすめ

  • 病弱な少女に購入されたAIロボットの物語に興味がある人
  • 気になる謎が次々と提示される物語が好きな人
  • 人間らしさとは何か?と問いかけられる物語を読んでみたい人
  • カズオ・イシグロさんの小説が好きな人
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あらすじ:病弱な少女に購入されたAIロボットの物語

物語の主人公は、人工知能を搭載したロボットのクララ。

彼女は、少年少女たちの友達になる目的で開発された人工親友(AF)で、他の男子AFや女子AFと共に、お店に並んでいました。

クララたちは第3世代のB2型で、お日さまから数時間遠ざかると、なんとなく体がだるく感じ、自分はどこか悪いのではないかと心配になります。

だからこそ、どのAFもお客様に選ばれたいという理由と共に、お日さまに当たりたいと思ってショーウィンドウに並べられたいと思っていましたが、

クララは他のAFとは違い、観察と学習意欲に溢れていたので、外の世界を見るためにショーウィンドウに並べられたいと願っていました。

そんなクララが実際にショーウィンドウに並べられたところ、病弱な少女・ジョジ―が彼女に興味を持って…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:クララの視点で物語が進んでいくのが面白い

この小説では、AIロボットであるクララの視点で物語が進んでいきます。

あらすじでも紹介したように、物語はクララがお店に並べられるところから始まり、しばらくしてショーウィンドウに並べられるのですが、

このとき、彼女は道端で亡くなっていた物乞いと犬がお日さまに当たって生き返る姿を目撃しました。

実際はただ寝ていただけなのかもしれませんが、

この出来事に衝撃を受けたクララは、購入者である病弱な14歳半のジョジーに元気になって欲しいとお日さまに祈りを捧げるようになるんですよね。

お日さまを信仰していると言っていいほど、すべてをかけて祈りました。

このように、AIがお日さまを信仰するという視点が面白いのですが、

他にも、外界をボックスという単位で認識したり、ジョジーや彼女の同級生にイヤな言葉を浴びせられても、ジョジーを守ろうとするなど、

AIロボットが実在すれば、こういう振る舞いをするのかもと思える物語が楽しめます。

木皿泉さんの小説『カゲロボ』では、人間そっくりのロボットが、虐待やイジメがないかをこっそり監視する物語が楽しめましたが、

木皿泉『カゲロボ』は他人の不幸を求めている人に読んで欲しい物語
 他人の不幸を望んでいませんか?  私も他人の不幸を望んでしまうことがありますが、もしそうだとしたら、心が傷だらけの証拠。今すぐ何かで癒されるべきです。  たとえば、木皿泉さんの小説『カゲロボ』などはいかがでしょうか。 ...

この物語では、ひたすらジョジーの幸せを願うクララの姿に感動できる物語が描かれていました。

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感想②:気になる謎が次々と提示される

この小説では、気になる謎が次々と提示されます。

たとえば、先ほどクララは病弱な少女・ジョジーに購入されたと紹介しましたが、

ジョジーの母は娘の友達にという理由だけでなく、ある別の目的を持ってクララを購入していました。

そして、娘が病弱にも関わらず、なぜか少し無理をしてまで、ある人物にジョジーの肖像画を書かせようとしていたんですよね。

そもそも、ジョジーが病弱になったのは、向上処置というものをしたからだと言います。

一方で、ジョジーの幼馴染であるリックは未処置のため、大学に行くチャンスさえありませんでした。

このように気になる謎が次々と提示されるのですが、他にも、ジョジーの父は優秀な技術者でしたが、今では置き換えられて職を失っていることがわかったり、

ジョジーの姉・サリーが亡くなってから2日後にサリーが母と一緒にいたことがわかったりと、謎だらけです。

恩田陸さんの小説『きのうの世界』でも、気になる謎が次々と提示される物語が楽しめましたが、

恩田陸『きのうの世界』は気になる謎が次々と提示される物語
気になる謎が次々と提示される物語はお好きですか? 私はそういった物語が大好きなので、恩田陸さんの小説『きのうの世界』は一気に惹きつけられました。 残念ながらラストに向かうに連れて失速していきましたが、それでも楽しめる物語なんです...

この物語では、気になる謎がすべて回収されるわけではありませんが、想像できる要素があるので、読了後もあれこれ考える楽しさが味わえました。

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感想③:人間らしさとは何か?

さて、この小説では、「人間らしさとは何か?」をテーマに描かれているように思います。

たとえば、ジョジーはクララのことを大切に思っていましたが、

同年代の子供たちとの交流会で、他の子たちからクララよりも新型のAFをなぜ買わなかったの?とバカにされながら聞かれると、

「買うべきだったかなって、いま思い始めたところ」

と言い放ちました。

他にも、ジョジーはクララに八つ当たりをしたり、召使いのような扱いをしたりします。

ジョジ―は、クララのことを所詮はロボットだと思っていたのです。

他の人たちも同じです。ジョジーの父も母も、誰もが、AFというだけで見下したり、嫌ったりしました。

それでもクララは、ジョジーを幸せにするという目的を実現するために、行動していきます。

自分の能力が制限されることになっても、ジョジーのために行動していくんですよね。

それでも、ラストは…。

伊坂幸太郎さんの小説『死神の精度』では、人間らしさとは生きる意味を追い求めることだと思える物語が描かれていましたが、

伊坂幸太郎『死神の精度』は人間らしさとは生きる意味を追い求めることだと思える物語
自分の行動に意味づけをしていませんか? 「なぜこの仕事をしているの?」「なぜこの本を読んでいるの?」「なぜブログを書いているの?」…などなど。 私はどんなことでも「なぜ?」を考えないと気がすまない性格なので意味づけをしていますが...

この小説では、クララの姿を通して、他人を思いやる心こそが人間らしさなのでは?と思える物語が描かれていたので、感動しました。

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まとめ

今回は、カズオ・イシグロさんの小説『クララとお日さま』のあらすじと感想を紹介してきました。

人間の少女とAIロボットのやり取りを通して、人間らしさとは何か?と問いかけられる物語が楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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