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 陽気なギャングシリーズもついに3作目。今回のギャングたちは銀行強盗をすることなく、三流記者に脅され、追い詰められていきます。

 ほんと読んでいてムカつく物語ですが、現実にも『陽気なギャングは三つ数えろ』に出てくるような三流記者がいるんですよね。なぜなら…。

 多くの人が他人の不幸を知りたがっている

「でもね、成瀬さん、他人の不幸は蜜の味というのは嘘ではない。妬みについて調べた研究では、実際、ネズミにだって自分より優れたライバルに不幸が訪れると脳が喜びを感じるらしい。これはもう仕方がない。脳の問題なんだ」

 と三流記者・火尻が言うように、私たちの多くが他人の不幸を望んでいるからです。

 たとえば、自分とは正反対の考えの持ち主が成功している姿を見ると、心のどこかで「失敗しろ」って思いますよね。この心理を利用して記事を書いているわけです。

 ところが、これが行き過ぎると、無実の人を不幸に陥れることになります。

 実際に起きた悲しい事件も紹介されている

 この物語では火尻の記事が原因で3人の無実の人が死に追いつめられていました。実は、そのうちのひとつは本当に起きた事件がベースになっているんですよね。

 その事件というのは、

「学校の先生の話でな。教え子に侮蔑的な呼び名をつけたり、正座をさせられたり、『処刑』と呼んで、鉛筆で手のひらを刺したりもしていたのがニュースになった」
「デマだったんだ」
「生徒の親が、その教師とウマが合わなくてな、でまかせを記者に流した」

 これは『でっちあげ』という本に書かれている内容そのものです。実際は、裁判でデマが暴かれていったのですが、この記事を書いた記者も、嘘をでっち上げた生徒の親も誰もその教師に謝っていません。

 なぜなら、悪いことをしたと思っていないから。むしろ、他人の不幸を喜んでいるからです。もっと言えば、記者は売れさえすれば何を書いてもいいと思っているからです。だからこそ…。

 ゴシップ記事は読まないに限る

 これにつきます。私たちが他人の不幸を喜んでいる限り、世の中に嘘が出回ります。これからも無実の人が不幸になっていくでしょう。

 だからこそ、ゴシップ記事は読まないに限る――そんな想いが伝わってくる小説が伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングは三つ数えろ』です。

 物語としては、ギャングたちが火尻に追い詰められ、そして逆転する姿に、怒りとスッキリ感が味わえます。気になった方はぜひ。

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