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 ゴシップ記事はお好きですか?

 私は昔からあまり好きではなく、ほとんど読んできませんでしたが、伊坂幸太郎さんの小説『陽気なギャングは三つ数えろ』を読んで、さらに読みたくなくなりました。

 三流記者に脅され、追い詰められていくギャングたちの姿をみていると、心からゴシップ記事は読まないに限るって思えるんですよね。

 三流記者に追い詰められるギャングたちの物語

 では、あらすじから。

 今回も銀行強盗に入ったギャングたちでしたが、逃走する際に、久遠が警備員から警棒を投げられて左手を負傷しました。

 これがキッカケで、週刊誌記者の火尻に目を付けられてしまい、不審な人物が彼らに接触してくるようになります。

 口から出まかせばかり言ってる響野の妻には詐欺の電話が、正確な体内時計をもつ雪子には当たり屋が、他人の嘘が見抜ける成瀬には痴漢のでっちあげをしようとする女性が接触してきます。

 そうまでして火尻が彼らと接触してきたのには、ある理由がありました。火尻はギャングたちに違法カジノで作った借金を肩代わりして欲しかったのです。

 カジノを運営していたのは大桑と名乗る青年でしたが、借りた金を踏み倒す人間は容赦しない恐ろしさがありました。

 そこで、火尻は借金を肩代わりしてくれたらギャングであることを公表しないと言うのですが、そんな話が信じられるわけがありませんよね。

 実際、火尻がこれまで書いた記事で多くの人たちの人生が狂わされていました。無実の人が死に追いやられたケースさえあります。

 多くの人が他人の不幸を知りたがっている

 そのうちの一つは、学校の教師をデマで追い詰めたものでした。

「学校の先生の話でな。教え子に侮蔑的な呼び名をつけたり、正座をさせられたり、『処刑』と呼んで、鉛筆で手のひらを刺したりもしていたのがニュースになった」
「デマだったんだ」
「生徒の親が、その教師とウマが合わなくてな、でまかせを記者に流した」

 実は、この話は実際に起きた事件がベースになっています。詳しくは『でっちあげ』という本に書かれているので、気になった方は読んでみてください。

 さて、話を戻すと、火尻はアイドルである宝島沙耶の恩人も記事を書いて自殺に追い込んでいました。

 彼女はある事件の被害者でしたが、夜に風俗店で働いていことを記事にして、被害者であるはずの彼女を加害者のように追い詰めていったんですよね。

 しかし、火尻は何ひとつ反省していませんでした。むしろ、人間には他人の不幸を喜ぶところがあるので仕方ないと言い出します。

「でもね、成瀬さん、他人の不幸は蜜の味というのは嘘ではない。妬みについて調べた研究では、実際、ネズミにだって自分より優れたライバルに不幸が訪れると脳が喜びを感じるらしい。これはもう仕方がない。脳の問題なんだ」

 さらに、そんな不幸を喜ぶ人たちが騒いだことが自殺の原因で、記事を書いた自分には何の罪もないと言い切るんですよね。

 そんな話を聞かされた成瀬は…。

 ゴシップ記事は読まないに限る

 アイドルの宝島沙耶と協力して、火尻を追い詰め、逆転していきます。途中までは怒りが湧いてきて仕方ない物語でしたが、最後にはスッキリできました。

 このように、伊坂幸太郎さんの小説『陽気なギャングは三つ数えろ』は、ゴシップ記事は読まないに限ると心から思える物語です。

 もちろん、サスペンスとしても、ギャングシリーズの続編としても楽しめる物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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