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 「一発逆転したい!」って思ったことありませんか。

 私は仕事やプライベートで思うような結果が出なかったときに一発逆転したいって思いますが、伊坂幸太郎さんと阿部和重の共著『キャプテンサンダーボルト』を読んで、一発逆転するにはリスクを取る必要があることを痛感しました。

 逆に言えば、リスクを取れば一発逆転できる可能性はあるんですよね。

 詐欺師からお金を巻き上げて借金を返そうとする主人公

 では、あらすじから。

 物語の主人公は、相葉時之。彼は1973年式のクルマ「ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム」を手に入れるために借金をし、さらに東京でAV出演を強要された後輩を救うために借金を重ねました。

 その結果、これまで迷惑をかけっぱなしだった母の店舗兼住居を手放すことになります。

 さすがに、このままではダメだと思った相葉は、一発逆転を目指して詐欺師からお金を奪う計画を立てました。

 友人のひとりがインチキ健康水の詐欺にあっていたので、その詐欺師からお金を巻き上げようと考えたのです。

 ところが、待ち合わせ場所に現れたのは、詐欺師ではなく、ギャングと取引しようとしている怪しい人物でした。友人のホテルマンが間違ってカギを渡してしまったんですよね。

 しかし、相葉は彼からスマートフォンを奪い、相手がプロの犯罪集団だと知った上でお金を巻き上げようと考えます。平然と人殺しをする相手にです。

 とはいえ、さすがに一人で立ち向かうには無理がありました。そこで…。

 二人で力を合わせれば困難にも立ち向かえる!?

 偶然再会した井ノ原悠を半ば強引に事件に巻き込んでいくんですよね。

 井ノ原は少年野球チームで相葉とバッテリーを組んでいましたが、ある出来事がきっかけで今では音信不通になっていました。

 しかし、偶然再会した相葉から「良い儲け話がある」と聞かされ、はじめは戸惑っていましたが、その誘いに乗ります。

 彼にも断れない事情があったからです。借金を抱えて苦しんでいたのです。

 井ノ原には特殊なアレルギーにかかって苦しんでいる息子がいました。夜も痒さで眠れないため、高いクスリを買って借金を重ねていました。

 ところが、まったく効果がありません。彼の妻も看病と借金に追われてノイローゼ気味でした。

 そこで、井ノ原は相葉の話にのって一発逆転を目指すことにしたのですが、相手は人殺しを何とも思わないプロの犯罪集団。しかも彼らは、謎の水を求めています。

 相葉と井ノ原は、彼らよりも先に水を手に入れて一発逆転できるのか!?

 リスクを取れば一発逆転できるかもと思える物語

 という物語なのですが、そんな彼らの姿を見ているとリスクをとれば一発逆転できるのかもと思えてきます。

 また、『キャプテンサンダーボルト』は伊坂幸太郎さんと阿部和重の共著ということもあり、一人ではムリでも二人なら不可能を可能にできるかも!?がテーマの物語です。

 阿部和重さんと伊坂幸太郎さんの二人で、これまで達成できなかった大きな何かを達成しようと目指した作品にも思えてくるんですよね。

 というわけで、『キャプテンサンダーボルト』は、一発逆転を目指すならリスクを取ろう、一人でムリなら仲間を作ろう!?そんな思いにさせてくれる物語です。

 もちろん、サスペンスとしても、最後に驚きが用意されている物語としても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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