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 仕事に夢中になっているときには考えませんが、仕事がひと段落したときなどの「ふとした瞬間」に、「何のために働いているんだろう」と考えることがあります。

 そんなとき、「家族のため」や「会社のため」、「社会を良くするため」といった言葉が浮かんでくるのですが、なんだか嘘くさくてしっくりきませんでした。しかし、赤井乳業(ガリガリ君で有名な会社)の社長の言葉を聞いて、「そうかもしれない」と納得することができたのです。その言葉とは:

 「会社のために働くな。自分のために働け」

 「会社のため」を考える前に「自分のため」を考える。「自分のため」とは、自分を知り、自分を好きになり、目の前の仕事を好きになるということです。それができれば、そうした「場」を与えてくれた会社という組織にも愛着が湧きますよね。つまり、自分のために働くからこそ「会社のため」にもなるのです。

 とはいえ、「自分のため」と「目の前の仕事を好きになること」が一致しない方も多いでしょう。私も『言える化』を読むまでは一致しませんでした。しかし、この本を読んで、赤城乳業の社員たちが、目の前にある仕事が本当に好きで、自分のために働いていることがわかったのです。ある若手社員は、血尿が出ても仕事に夢中になっていました。やらされ感ではできることではありません。

 では、どうすれば彼らのように「目の前にある仕事」が好きになり、本気で「自分のため」に働くことができるのでしょうか。

 目の前にある仕事が好きになる秘訣

 赤城乳業では社員に次の二つを実践させることで、目の前にある仕事を好きにさせているそうです。その二つとは:

  • 大きな仕事を任せる
  • ギリギリまで追い込む

 パッと聞いただけでは、なんだかツラそうな職場にも思えますが、こうすることで若手社員たちが眼を輝かせて働くようになるといいます。なぜでしょうか。

1. 大きな仕事を任せる

 売れすぎて発売3日で販売休止に追い込まれたアイス「ガリガリ君リッチコーンポタージュ(通称:コンポタ)」をご存知でしょうか。私は知らなかったのですが、スゴイ勢いで売れていたみたいですね。

 しかも、この人気商品を生み出したのは、20代の若い二人組だそうです。入社3年目と5年目の若いペアが、他の会社だったら間違いなく「暴走」と言われるほど突っ走り、その若い感性をいかしたヒット商品づくりに成功しました。

 「コンポタ」を開発した入社3年目の岡本さんは、商品化が決定した後、アイスの基となる原料を調達するため原料メーカーとの打ち合わせをセットしました。原料メーカーからは課長以下数名の担当者が来社しましたが、相手をしたのは25歳(当時)の岡本さんひとり。もちろん不安だらけだったそうですが、商品にかける思いと責任感で経験不足をカバーし、乗り切りました。原料メーカーの担当者から「若いのにしっかりしてますね」と声をかけられるほどだったといいます。

 このように、赤城乳業では、普通の会社なら課長や係長が担当するような仕事を入社数年目の若手社員が進めています。だからこそ、彼ら若手社員たちは、目の前にある仕事が好きになれるのです。

 考えてみてください。自分がアイデアを出した商品、開発した商品がコンビニやスーパーで並ぶ姿を。しかも、入社数年目にしてそれが実現できるのです。目の前にある仕事がなんだかワクワクしてきませんか。

2. ギリギリまで追い込む

 とはいえ、入社後すぐの新入社員に大きな仕事を任せても上手くはいきませんよね。影山さんもそういった経験をしたひとり。入社後、開発部に配属された影山さんは、いきなり「ガリガリ君」の担当を命じられたそうです。

 しかし、当然うまくいきません。なんとか苦し紛れで新商品の提案を上司にしたところ、「お前、これ自分で何点だと思っているんだ?」と詰問されました。自信などまったくなかったので、思わず「60点です」と正直に答えると、「60点のモノを売っていいんか!」とすごい剣幕で怒鳴りつけられたそうです。新入社員だからといって、仕事の中身については容赦ありません。

 その後も、影山さんはこういった経験を何度も繰り返したそうです。ある大手コンビニ向けの新商品開発では、数千万円もする機械を導入することになりました。しかし、売れ行きは散々。商品をつくりながらも、売れずに半分は廃棄するというやばい状況に追い込まれたのです。

 実は、赤城乳業では、こうした仕事の進め方が当たり前になっています。若いうちから、大きな責任を与え、思い切り任せる。社内では「放置プレイ」と呼ばれるほど、任せたら余計な口出しはしません。

 もちろん、これは無責任に「放置」しているわけではありません。ギリギリまで泳がせてみる。影山さんのように本人がアップアップするまで、追い込んでみるのです。そうすることで、本気の力を発揮させようとしているのです。

 その後、影山さんは多くの「やばい」を乗り越え、いくつものヒット商品の開発に成功し、今では係長として大手コンビニ向けの商品開発を統率しているそうです。多くの「やばい」という状況を乗り越えたからこそ、ヒット商品が開発できる実力が身についたのですね。だから、今では仕事が楽しくて仕方がないといいます。

 このように、実力がついていく実感があるからこそ、「目の前にある仕事」に取り組むことが「自分のため」だと思えるのかもしれませんね。

 まとめ

 「自分のために働く」と聞くと、どうしても「楽をして」「お金のために」「好き勝手に」といったイメージをしてしまいがちですが、本当は「目の前にある仕事が楽しくてしょうがない」という状況を作り出すことが「自分のために働くこと」なのかもしれません。

 赤城乳業では、若手社員たちが心からそう思えるように、あえて大きな仕事を与え、ギリギリまで追い込んでいました。もちろん、会社からこういった状況を与えてもらえるのなら喜んで挑戦していくべきでしょう。しかし、そうではない会社も多くあります。そんなときは、自ら行動を起こすしかありません。

 今では安定した職場にいることが「安定」ではなくなってきています。不況の波が押し寄せてきたときに、いつリストラされるかわかったものではないからです。そういった状況に追い込まれても、乗り越えていく力をつけておくためにも、あえて「大きな仕事」や「ギリギリまで追い込まれる仕事」に挑戦してみるのもひとつでしょう。あなたは、どうしますか。

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