洋画はお好きですか?
私は洋画が大好きなので、よく観ていますが、
ギヨーム・ミュッソさんの小説『ブルックリンの少女』は、まるで洋画を観ているかのようなスピーディーな展開に一気に惹きつけられました。
次々と気になる謎が提示されるので、ページをめくる手が止まらなくなったんですよね。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 次々と気になる謎が提示される物語が好きな人
- 世界的にマスコミの姿勢には問題があることがわかる物語を読んでみたい人
- 子供が生まれる前後で世界は大きく変わることがわかる物語に興味がある人
- ギヨーム・ミュッソさんの小説が好きな人
あらすじ:婚約相手が隠していた過去に迫る主人公の物語
物語の主人公は、人気小説家のラファエル・バルテレミ。
彼はアンナ・ベッケルという小児科医の女性と婚約していましたが、
彼女の過去が気になり、問い詰めたことで、思わぬ事態に発展しました。
彼女が「これがわたしがやったこと…」と言って三人の焼死体が写った写真を見せてきたからです。
ラファエルは動揺して、アンナを置いたまま別荘を後にしましたが、落ち着いて話をしようと戻ったところ、すでに彼女の姿はありませんでした。
携帯で電話をしても、全くつながりません。
そこで、友人であり、国家警察組織犯罪取締班の元警部であるマルク・カデラックと共に彼女の行方を探したところ…。
という物語が楽しめるミステリー小説です。
感想①:次々と気になる謎が提示される
あらすじで、ラファエルはマルクと協力してアンナの行方を探しはじめたと書きましたが、
そうすることで、次々と驚くような事実が浮かび上がってきました。
マルクがドアを突き破ってアンナのアパートに入ったところ、部屋の中に隠されていた黄色いスポーツバッグから四十万ユーロもの大金が見つかったのです。
それだけでなく、偽造の身分証明書が二枚も見つかりました。
さらに、彼女が通っていたリセ・セント=セシルの学園長に話を聞きにいくと、
本物のアンナ・ベッケルは学園長の姪であり、行方不明になった婚約相手のアンナがその名前を使って暮らしていたことがわかります。
ちなみに、ここまでの物語は80ページほどで描かれている内容ですが驚きの連続です。
もちろん、残りの400ページでも次々と気になる謎が提示されるんですよね。
フランスやアメリカを舞台に、アンナとその関係者たちを巻き込んで事件が発展していくので、膨大な物語が語られます。
伊坂幸太郎さんの小説『オーデュボンの祈り』でも、次々と気になる謎が提示されましたが、

この物語では、それだけでなく、まるで洋画を観ているかのようなスピーディーな展開に一気に惹き込まれました。
感想②:世界的にマスコミの姿勢には問題がある
この物語ではいくつかの深刻な問題が取り上げられています。
なかでも、大きく取り上げられていたのは、拉致監禁された被害者のトラウマとそれを扱うマスコミの姿勢です。
たとえば、アンナには、キャンディスという年上の優しくてきれいな友達がいました。
キャンディスは優秀な生徒で、自力で何かをしようとする素敵な子でした。
ところが、ある日。若い男たちが彼女を監禁し、二週間にわたって犯し続けます。
その後、警察が彼女を見つけ、これですべてが終わると思ったキャンディスでしたが、病院から家に戻ると、マスコミが押しかけてきました。
キャンディスの父親がマスコミに対して「娘の苦しみを考慮してほしい、立ち去ってもらいたい」と訴えましたが、誰ひとりとして聞く耳を持ちませんでした。
「報道の自由」だと言って、キャンディスとその家族に、覗きの趣味の犠牲になることを強要したのです。
その結果、キャンディスは自殺しました。
池井戸潤さんの小説『民王』でも、マスコミが呆れるような報道をする姿が描かれていましたが、

この小説を読んで、日本だけでなく、世界的にマスコミの姿勢には問題があることがわかりました。
感想③:子供が生まれる前後で世界は変わる
さて、この小説では、「子供が生まれる前後で世界は大きく変わる」をテーマに描かれているように思います。
主人公のラファエルにも別れた妻との間にできた子供・テオがおり、彼が生まれる前後では大きく生活が変わりました。
たとえば、彼は、
本には魔法に似た特徴がある。「二人の見知らぬ人間が親密な方法で出会うことのできる唯一の場所」なのである。
でも、子供とは違う。一人の子供に比べられるものなどありはしない。
と大好きな本でさえ子供には敵わないと言います。
ラファエルに協力して一緒にアンナを探してくれたマルクも、
一人の子供が行方不明になるか死亡するという事件は、その家族だけを破滅させるのではない。すべてを根こそぎにし、すべてを焼き払い、人々を破壊し、責任のありかを混乱させ、各人の落ち度を責めて悪夢に追いたてる。
と、子供がもつ影響力の大きさを言葉にしました。
それだけでなく、多くの登場人物が子供はかけがえのないものだと心から思っている姿が描かれているんですよね。
東野圭吾さんの小説『希望の糸』でも、子供という存在の大きさに衝撃を受ける物語が描かれていましたが、

この小説でも、子供の存在は世界を一変させるほどの大きな存在だとわかる物語が描かれていました。
まとめ
今回は、ギヨーム・ミュッソさんの小説『ブルックリンの少女』のあらすじと感想を紹介してきました。
次々と気になる謎が提示されるだけでなく、洋画を観ているかのようなスピーディーな展開に惹き込まれる物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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