webstation plus

 才能を発揮していますか?

 残念ながら私には才能がないので努力するしかありませんが、百田尚樹さんの小説『ボックス!』を読んで才能には2種類あることに気づきました。

 天性の才能と努力できる才能の2種類あるんですよね。

 天性の才能を発揮する主人公

 では、あらすじから。

 物語の主人公は鏑矢義平。彼はボクサーとして天才的なセンスを持っていたので、まったく努力をしなくても同じ高校生には負けない強さを誇っていました。

 電車でタバコを吸って調子に乗っている不良たちを倒すことなどたやすいことです。

 ところが、鏑矢はその才能にかまけて手を抜いて練習していたので、インターハイに出場しても優勝することが出来ませんでした。

 試合に負けても「試合には勝っていた。判定ミスだ」なんて言い張る始末です。

 しかし、そんな鏑矢に憧れを抱いている人物がいました。鏑矢の友人である木樽優紀です。

 彼は幼い頃から小児喘息の持病があり、身体が弱く気も弱かったので、いじめられてばかりいました。殴られても何も出来ずにいたのです。

 とはいえ、優紀は持ち前の頭の良さを発揮して高校に特待生として進学していました。

 だからこそ、鏑矢に「一緒にボクシングをしよう」と誘われても、断って勉強に励んでいたのですが…。

 努力する才能を発揮するもうひとりの主人公

 同級生の女の子と出かけたときに中学時代の同級生に絡まれ、一方的に殴られた優紀は、弱い自分が心底嫌になりました。

 そこで、鏑矢にお願いしてボクシング部に入部します。

 もちろん、誰もが彼に期待していませんでした。それどころか母や先生に入部を止められます。

 それでも優紀は鏑矢のように強くなりたいという一心で練習に励みました。顧問である沢木の言いつけを守って、単調な練習を何度も何度も繰り返します。

 それこそ根性があるボクサーでも根を上げるような練習を繰り返したので、彼は二週間で驚くような成長を遂げるんですよね。

 それだけでなく、「あいつは化けるぞ」と言われるほどの力を発揮していきます。

 このように優紀には努力する才能がありました。

 もちろん、努力と言っても、苦しんで苦しんでしんどい思いを克服するものとは違います。さぼりたい気持ちを押さえつけないと努力出来ない人には才能がないのです。

 つまり、努力を努力と思わないで行動できることが努力ができる才能なんですよね。

 そんな彼らの姿を見ていると…。

 才能には2種類あることがわかる物語

 才能には2種類あることに気づきます。天性の才能と努力できる才能の2種類です。

 さて、物語としては、鏑矢と優紀がいろいろな問題に直面しながらもお互いのペースで問題に向き合って克服していきます。

 しかし、彼らの前に圧倒的な才能をもつ稲村が立ちはだかりました。彼は天性の才能に加えて、努力の才能も持ち合わせています。

 彼らはそんな天才ボクサー稲村に勝てるのか!?

 というわけで、百田尚樹さんの小説『ボックス!』は、才能には2種類あることがわかる物語ですが、それだけでなく、血と汗と涙の青春物語としても楽しめるので…。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 関連記事

盗人にもモラルがあった!?池波正太郎『鬼平犯科帳(1)』は正義と悪がごちゃ混ぜになった小説

(※『決定版 鬼平犯科帳(1)』表紙より)  池波正太郎さんの小説『鬼平犯科帳(1)』。  大きくみると鬼平が悪者を退治するという構成の物語ですが、盗人にもモラルがある者やそうでない者がおり、盗人同士でも闘いを繰り広げる …

伊坂幸太郎『モダンタイムス』は大きな流れには逆らえなくても小さな幸せは守りたいと思える物語

 権力を握っている人に媚びを売って生きていませんか?  私は両親から「いつまでも反抗期だねぇ」と言われるほど、権力に媚びを売らずに生きてきましたが、伊坂幸太郎さんの小説『モダンタイムス』を読んで、その生き方で良かったかな …

伊坂幸太郎『ホワイトラビット』はワクワクと驚きがとまらなくなる物語

 最近、ワクワクしていますか。  私はワクワクしていないなぁ…と思っていたのですが、伊坂幸太郎さんの小説『ホワイトラビット』を読んでワクワクと驚きがとまらなくなりました。  想像を上回る展開にページをめくる手が止まらなく …

何度も挫折しそうになった小説/湊かなえ『未来』感想

(※『未来』表紙より)  湊かなえさんの小説『未来』。 『告白』から10年。湊ワールドの集大成!  と帯にも書かれていたので期待して読んだのですが、途中で何度も挫折しかけました。  今回はその理由について書いてみたいと思 …

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖7』感想/リスクをとれば道は開ける!?

 リスクをとっていますか?  私は安定を好む性格なので、あまりリスクをとっていませんが、三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖7』を読んで、リスクをとれば道が開けることがわかりました。  逆に言えば、リスクをとらない …

厳しい現実に立ち向かうには人とのつながりを大切に/垣谷美雨『農ガール、農ライフ』感想

 「今の仕事がキツイから農業でも始めようかなぁ」「退職後に農業でも始められたらいいなぁ」…なんて考えていませんか。  もし、そんな甘い考えをしているようなら、垣谷美雨さんの小説『農ガール、農ライフ』を読むことをおすすめし …

東野圭吾『ラプラスの魔女』感想/「存在意義がない人」などこの世に存在しない

 自分の視点で他人を評価していませんか?  たとえば、「あの人は役に立つ人だ」とか、「あの人には何を任せてもダメだ」なんて評価しがちですが…。実はこの世界には「存在意義がない人」なんて誰もいません。  そんな当たり前のこ …

池井戸潤『銀行総務特命』感想/AIに奪われない仕事をしよう

「近い将来、10人中9人は、今とは違う仕事をしているだろう」  とは、グーグルの創業者であるラリー・ペイジの言葉ですが、彼はAIの進化によって、現在の仕事のほとんどがAIとロボットに取って代わられると断言しています。   …

伊坂幸太郎『魔王』は考える力を失った人たちの恐ろしさがよくわかる物語

 誰かの意見に流されていませんか?  私は何でも「なぜ?」と考えるクセがあるので、あまり世間の風潮に流されていないと思いますが、伊坂幸太郎さんの小説『魔王』を読んで、考える力を失った人たちの恐ろしさがよくわかりました。 …

川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』感想/大切なのは事実よりも捉え方!?

 トラウマになるような出来事ってありますよね。  私も過去にそういった嫌な出来事に遭遇していますが、川口俊和さんの小説『コーヒーが冷めないうちに』を読んで、捉え方ひとつでプラスにできることがわかりました。  捉え方を変え …