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 自分の欲望を満たすために他人を犠牲にできますか?

 私はそれほど欲望がないので他人を犠牲にできませんが、三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖6』に登場する多くの人たちは自分の欲望のために行動していました。

 それだけでなく、他人を犠牲にしても平気な顔をして過ごしているんですよね。

 栞子さんに大怪我を負わせた田中が再び動き始める

 では、あらすじから。

 『ビブリア古書堂の事件手帖1』で栞子さんに大怪我を負わせた田中敏雄からある依頼が舞い込みます。

 それは彼が犯罪を犯してまで手に入れようとしていた太宰治の小説『晩年』の行方を調べて欲しいと言うものでした。

 ただし、栞子さんから奪おうとしたものではなく、彼の祖父が持っていた『晩年』を取り戻して欲しいと言うのです。

 栞子さんは田中の祖父が持っていた『晩年』に興味を持ち、依頼を受けることにしますが、

 その数日前に栞子さんが燃やした『晩年』が偽物だということを知っているという脅しの手紙が投げ込まれていました。

 大輔は田中がその手紙を投げ込んだと考えていましたが、そのとき田中は保釈されておらず、別の人物の仕業であることがわかります。

 そこで大輔は田中に注意しながらも、手紙を投げ込んだ人物を探ろうとしていたところ…。

 栞子さんと大輔の知り合いばかりが関わっている!?

 なぜか栞子さんと大輔の関係者ばかりが、田中の探している『晩年』に関わっていることがわかるんですよね。

 田中の祖父が所持していた『晩年』の行方を知っているのは、富沢という大学教授でしたが、彼は田中の祖父のことを話してくれませんでした。

 なぜなら、田中の祖父たちはロマネスクの会という太宰の研究サークルのようなものを作っていたのですが、その中の誰かが富沢の大切にしていた本『駆け込み訴へ』を盗んでいたからです。

 そして、この盗みの謎を解いたのが栞子さんの祖父だというのですが…。

 なぜか栞子さんの祖父は、誰が何のために富沢の本を盗んだのか教えてくれなかったと言います。

 そこで、栞子さんがこの謎を再び解き明かそうとしますが、そこに大輔の亡くなった祖母が関係してきて…。

 自分の欲望を満たすために他人を犠牲にできますか?

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖6』に登場する多くの人たちは、自分の欲望のために他人を犠牲にしていましたが、

 そうした行動をとり続けていると悲しい結末が待ち受けていることがわかる物語です。

 もちろん、それだけでなく、栞子さんと大輔の恋の行方が気になる物語としても、栞子さんの母の正体が明かされていく物語としても楽しめるので、

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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