古書を読んでいますか?
私はどちらかと言うと、人気作家の新作本を読むことが多いのですが、
三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖』を読んで、古書を手に取ってみたくなりました。
夏目漱石や太宰治の小説がとても身近に感じられたので、実際に読んでみたくなったんですよね。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 恋愛ミステリーが好きな人
- 夏目漱石や太宰治などの古書に興味がある人
- 驚きのある物語が好きな人
- 三上延さんの小説が好きな人
あらすじ:本を読むのが苦手な主人公の物語
物語の主人公は五浦大輔。
彼は幼い頃は本が大好きで、毎日のように読んでいましたが…。
ある日。祖母の部屋に入って夏目漱石全集の『それから』を手に取ったところ、
祖母に無理やり立たされて二回も頬を叩かれたので、そのショックで本が読めなくなりました。
大人になって、祖母が亡くなった今でも、本を読もうとすると体が拒絶反応を示します。
ところが、祖母の遺品整理をしていたときに、『それから』に書かれていた「夏目漱石 田中嘉雄様へ」というサインを見つけたことがキッカケで、本と関わる機会が劇的に増えました。
本好きな女性に恋をしたからです。
その女性は栞子さんと言い、ビブリア古書堂の店主でした。
『それから』に貼られていた値札の片隅に「ビブリア古書堂」と書かれていたのを見つけ、鑑定してもらいに行ったことがきっかけで彼女と出会ったんですよね。
しかも、彼女には驚くべき才能がありました。その才能とは…。
という物語が楽しめる小説です。
感想①:栞子さんという女性が魅力的
あらすじで栞子さんには驚くべき才能があると紹介しましたが、
彼女は古書を手に取るだけで、持ち主がどういう人物なのかを見抜くことができました。
たとえば、栞子さんは、大輔の祖母が持っていた本に「夏目漱石 田中嘉雄様へ」と書かれているのを見て、すぐに偽物のサインだと見抜きます。
それだけでなく、なぜ偽物のサインが書かれていたのかも見抜きました。
それは大輔の出生に関わることで、祖母が死ぬまでひた隠しにしていたことでした。
このように栞子さんの推理力には凄まじいものがありますが、
普段は何気ない会話もできないほどの内向的であがり症な面を見せます。
そのギャップに一気に惹きつけられるんですよね。
池井戸潤さんの小説『不祥事』でも、主人公である花咲舞のギャップに心奪われましたが、

この物語では、大輔と同じように栞子さんの魅力に釘付けになります。
感想②:古書にまつわるミステリーが楽しめる
そんな栞子さんに恋をした大輔は、彼女から怪我をして入院している自分に代わってビブリア古書堂で働いて欲しいと言われます。
こうしてビブリア古書堂で働くことになった大輔は、栞子さんが古書にまつわる謎を解き明かす姿を何度も目撃することになりました。
たとえば、
- 同級生に恋をする女子高生がなぜ興味のない文庫本を盗んだのか?
- なぜサングラスをかけた男性がこれまで大事にしていた本を売りに来たのか?
といった謎を解き明かしていくんですよね。
また、栞子さんが怪我をして入院していたのは、ある古書をめぐってある人物に階段から突き落とされたからでした。
そこで栞子さんは、大輔にその犯人を捕まえる手伝いをして欲しいと言うのですが…。
東野圭吾さんの小説『恋のゴンドラ』では、恋愛をテーマにした一味違うミステリーが楽しめましたが、

この物語では、古書にまつわる本格的なミステリーが楽しめます。
感想③:古書を手に取ってみたくなる
さて、ここまで紹介してきたように、この物語では古書をテーマに描かれています。
夏目漱石の小説『それから』や太宰治の小説『晩年』など、
これまで読んだことのない本がわかりやすく魅力的に紹介されていたので、実際に手に取ってみたくなったんですよね。
それだけでなく、
「わたし、古書が大好きなんです…人の手から手へ渡った本そのものに、物語があると思うんです…中に書かれている物語だけではなくて」
と栞子さんが言うように、古書にまつわる物語に触れてみたくなりました。
坂木司さんの小説『和菓子のアン』を読んだときも、実際に和菓子が食べたくなりましたが、

こういった魅力的な物語を読むと、そこに描かれているものに興味を持ち、行動に移したくなります。
まとめ
今回は、三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖』のあらすじと感想を紹介してきました。
ミステリーとしても、恋愛小説としても、古書を手に取ってみたくなる物語としても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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