凪良ゆう『わたしの美しい庭』は人との違いを認められる人間でありたいと思える物語

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自分とは違う考えの人を受け入れられますか?

私は出来るだけ受け入れようと努力してきたつもりですが、

凪良ゆうさんの小説『わたしの美しい庭』の登場人物たちほど受け入れられないことに気づきました。

むしろ、この物語にも登場する噂話をするような嫌なヤツだったかも…と反省したんですよね。

おすすめ度:4.5

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こんな人におすすめ

  • 血のつながりのない親子の物語に興味がある人
  • 人との違いを認められる人間になりたいと思っている人
  • 感動できる物語が好きな人
  • 凪良ゆうさんの小説が好きな人
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あらすじ:血の繋がりのない男性と暮らす小学五年生の物語

物語の主人公は、10歳の百音(もね)。

彼女は、統理という血の繋がりのない男性と一緒に暮らしていました。

百音の母は、統理の元妻で、二人が別れて、別の男性と再婚したことで百音が生まれます。

ところが、5歳のときに両親が交通事故で死んでしまい、身内のいない百音は統理に引き取られることになりました。

統理は、フリーランスの実務翻訳家でしたが、自宅マンションの屋上にある「御建神社」の神職を両親から継いでいました。

さらに、マンションの持ち主でもあったので、金銭的には困ることなく、百音を養っていけたのです。

しかし、そんな二人の関係を見て、近所の人たちは、「なさぬ仲は大変よ」などと噂をして、百音を不安にさせます。

「ねえ統理、統理は、ほんとうはわたしのことが嫌いなの?」

と聞かずにはいられなくなるほど、不安な顔をして噂話をしていました。

この話を聞いた統理は、「ぼくはいつだって百音を愛している」と言い、さらに、

自分の陣地が一番広くて、たくさん人もいて、世界の中心だと思っていたり、そこからはみ出す人たちのことを変な人だと決めつける人たち、わかりやすいひどいことをしてくるなら戦うこともできるけれど、中には笑顔で見下したり、心配顔で面白がる人もいる

と言って、百音は間違ってないと続けます。

そんな二人が、婚期を逃した女性や同性愛者、鬱病などの悩みを抱える人たちと関わりながら、賑やかで楽しい生活を過ごしていく物語です。

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感想①:余計なお節介で他人を傷つける人たちがいる

先ほどあらすじでも紹介しましたが、余計なお節介をして他人を傷つける人たちがいます。

百音と同じマンションに住んでいる桃子も、そんなお節介な人たちに傷つけられたひとり。

彼女はアラフォーでしたが、結婚しておらず、母や周りの人たちからお見合いを勧められたり、結婚しろとこ小ごとを言われたりしていました。

そこで、仕方なく、堺さんというバツイチの男性とお見合いをすることにしたのですが、先方から断られます。

気が若そうな桃子と会って気後れしたというのです。

とはいえ、桃子は、日々自宅と職場を往復し、職場では若い子からお局様だと煙たがられ、たまの気晴らしも宝くじを買うことだけ…。

つまり、まったく若くはなかったのでショックを受けました。

実は、堺さんが求めていたのは、恋人でも妻でもなく、中学生になる娘の母親だったのです。

それでも桃子の母は、

「娘気分が抜けないところがあるわね。夫婦なんて何年もいたら惚れた腫れたじゃなくなるものよ」

と言って、次は目を瞑って結婚しろというんですよね。

明らかに娘のことよりも、世間体を気にした言葉ですが、

『運がいいと言われる人の脳科学』の感想にも書いたように、たとえ世間一般の幸せを手に入れたとしても、幸せにはなれるとは限りません。

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幸せを感じるポイントは、人それぞれ違うからです。

お節介な人たちに振り回されずに、自分らしく生きていこうと思える物語です。

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感想②:他人と違う自分を受け入れるには勇気がいる

とはいえ、他人と違う自分を受け入れるには勇気が必要です。

統理の親友である路有も、昔はゲイであることを隠して生きていました。

しかし、高二の春。周りの友達が女性の裸をみて盛り上がっているときに、路有は盛り上がっていなかったので、ホモかよと言われます。

このとき、路有は思わず部屋を飛び出してしまったので、ゲイであることがバレました。

そして、いじめられはしませんでしたが、多くの友達が離れていきました。

このとき、唯一、彼に声をかけたのが統理です。

それだけでなく、統理は、「一緒にいるとホモだと思われるから喋れないけどごめんな」と言ってきた友達に対して、「それは甘えだろう」と言いました。

「理解できないならできないでしかたない。だったら黙って通り過ぎればいいんだ。なのにわざわざ声をかけて、言い訳して、路有に許されることで自分たちが安心したいんだろう。けど良心の呵責はおまえらの荷物だよ。人を傷つけるなら、それくらいは自分で持て」

と言うのです。

伊坂幸太郎さんの小説『フーガはユーガ』の感想にも書きましたが、

一人では無理でも、統理のような信頼できる仲間がいれば、悪意に晒されても、立ち向かっていけるかもしれないと思えてきます。

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ありのままの自分を受け入れてくれる友達やパートナーと出逢いたいと思える物語です。

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感想③:他人との違いを認められる人間でありたい

さて、この物語は「他人との違いを認め合おう」をテーマに描かれているように思います。

先ほども紹介した婚期を逃したアラフォーの女性やゲイの男性、

また今回は紹介できなかった鬱病の男性が、他人との違いに苦しみ、そこから解放されていく姿が描かれているからです。

なかでも、このテーマを特に表しているのが、百音が学校で思いやりについて話し合いをしたときのエピソードです。

百音はその日の学校からの帰り道に、周りの同級生が両親のことを話しているのを聞いていましたが、

百音に両親がいないことに気づいた彼女たちは、「ごめんなさい」と謝りました。

学校で習った「自分がされて嫌なことを人にもしない」という思いやりのルールに則って実践したのです。

ところが、百音は不機嫌になるんですよね。

周りにいた子供たちにとっては明らかな不幸でしたが、百音は自分の境遇を不幸だと思っていなかったからです。

この話を聞いた統理は、百音にある言葉をいいます。

その言葉が伊坂幸太郎さんの小説『チルドレン』を読んだときのように、心に突き刺さったんですよね。

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その言葉とは…。ぜひ実際に読んでグッときてください。

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まとめ

今回は、凪良ゆうさんの小説『わたしの美しい庭』のあらすじと感想を紹介してきました。

他人との違いを認められる人間でありたいと思える物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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