今村夏子『木になった亜沙』は不思議な物語なのに最後まで惹きつけられる小説

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不思議な物語はお好きですか?

私はどちらかといえば、読書に意味を求めているせいか、テーマがハッキリしている物語が好きなのですが、

今村夏子さんの小説『木になった亜沙』は、不思議な物語なのに最後まで楽しめました。

それだけでなく、いろいろ考えるキッカケにもなったんですよね。

おすすめ度:4.0

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こんな人におすすめ

  • 不思議な物語が好きな人
  • 考えるキッカケになる物語を読みたい人
  • 淡々と語られる物語が好きな人
  • 今村夏子さんの小説が好きな人
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あらすじ:誰かに食べさせてあげたいと願う主人公の物語

物語の主人公は亜沙。

彼女は幼稚園の頃に、一番仲良しだったるみちゃんに炒ったひまわりの種を食べさせてあげようとしましたが、「いらん!」と拒否されました。

ここから亜沙の「何をしても人に食べてもらえない人生」が始まります。

小学生になると飼育係で愚痴を言い合った山崎シュン君が転校することになったので、

人生初のレーズンとピーナッツ入りのクッキーを作ってプレゼントしたところ、「いらないよ」と突き返されます。

シュン君は、レーズンもピーナッツもクッキーも大嫌いだったからです。

さらにその後、祖母にクッキーを作りましたが、硬いものが苦手で、糖尿病でもあったので食べてもらえませんでした。

母にも勧めましたが、病院の検査があり、しかも、そのまま入院することになったので食べてもらえませんでした。

金魚のエサもそうでした。亜沙がエサをやるとなぜか食べません。

給食もそうです。亜沙が手渡したものは誰も受け取ってくれませんでした。

こうして誰からも手渡したものを食べてもらえなかった亜沙は、

中学生になって不良になり、施設に入れられ、施設の仲間と行ったスキー場で頭を打って亡くなります。

しかも、目を覚ますとなぜか杉の木に生まれ変わっていました。

そんな亜沙が割り箸にされて…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:面白いけれど何の話?となる物語

この小説は、先ほどあらすじで紹介した『木になった亜沙』の他に2つの短編が収録されています。

それは、『的になった七未』と『ある夜の思い出』なのですが、

どちらも、あらすじで紹介したような「いったい何の話?」と突っ込みたくなるような物語なんですよね。

それにも関わらず、最後まで面白く読めてしまう不思議な物語です。

『進撃の巨人』を読んだときも、「これはいったい何の話だ!?」と思いながらもページをめくる手が止まらなくなりましたが、

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そんな感覚が味わえます。

とはいえ、『進撃の巨人』のように多くの謎があって、その謎が回収されていく楽しみが味わえるわけではありません。

不思議な物語が淡々と語られていきます。

『星の子』もそうでしたが、この不思議な魅力にハマる物語です。

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感想②:執着すると欲しいものは手に入らない

では、この不思議な物語のテーマは何か?と考えてみたところ、私は二つあるように思います。

ひとつは、手に入らないものほど欲しくなり、執着してしまうというものです。

『木になった亜沙』では、「人に手渡したものを食べて欲しい」という亜沙の願いが描かれていますが、

どれだけ手渡しても誰も受け取ってくれなかったので、亜沙はどんどん執着していきました。

『的になった七未』もそうです。

七未は幼い頃からモノを投げられても当たることなく逃げ切れる特技を持っていましたが、

多くの人たちがモノに当たって楽しそうにしている姿をみて、モノにあたれば幸せになれると勘違いし、執着していきました。

ところが、彼女たちが執着すればするほど、欲しいものは遠のいていくんですよね。

『解決!ナイナイアンサー 魔法の言葉』にも、

答えは自分が最も「見たくない」「したくない」と嫌っているところにある。一番手放したくないものを手放すと問題は終わるし、結果として、一番欲しかったものが手に入る。

と書かれているように、執着しているからこそ、欲しいものが手に入らない姿が描かれているように思います。

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それだけでなく…。

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感想③:不幸は連鎖していく

もうひとつのテーマである「不幸は連鎖していく」につながっていきます。

亜沙は、「何を手渡しても誰にも食べてもらえない自分」を受け入れれば、死ぬことなく楽しく過ごすこともできたはずです。

ましてや、七未に至っては、何にも当たらない特技を活かせば、驚くような成果が出せる可能性を秘めていました。

『努力不要論』の感想にも書いたように、才能とは「長所」と「短所」の両方だからです。

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それにも関わらず、彼女たちは、短所を直したいと固執したせいで、不幸の連鎖が始まりました。

『的になった七未』に至っては、不幸のどん底に落ちていきます。

そんな彼女たちの姿をみていると、程度の差はあれ、自分にも似たようなところがあることに気づき、

また、ある意味では、まるで自分から不幸になりにいっているようにも思えてくるんですよね。

そんな不思議な物語が描かれている小説ですが、不思議だからこそ、いろいろ考えさせられました。

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まとめ

今回は、今村夏子さんの小説『木になった亜沙』のあらすじと感想を紹介してきました。

とても不思議な物語ですが、いろいろ考えるキッカケになる物語でもあるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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