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(※『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』表紙より)


 人間にしかできない仕事をしていますか?

 オックスフォード大学のある研究チームの予測によると、AI化によって10年から20年後に全雇用者の約47%が職を失うそうです。

 もちろん、新たな仕事が生み出され、人手不足になる可能性はあります。しかし、チャップリン時代と同じように需要があるのに教育を受けていなかったせいで吸収されない労働者が溢れるかもしれないのです。

 では、どうすればAI化の波に飲み込まれることなく働き続けることができるのでしょうか。

 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を参考に考えてみましょう。

 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』ってどんな本?

 AI研究の権威でもある著者が、AIの限界と日本の教育レベルを明らかにし、最悪のシナリオ――大恐慌を避けるためにはどうすれはいいのかを提言している本です。

 AIがどういう仕組みで動いているのかがわかるだけでなく、今の、そして今後の日本の学校教育のダメさがわかりやすく書かれているので、AIに興味がある人だけでなく、子どもを持つ多くのお父さん、お母さんにも読んで欲しい本です。

 では早速、AIの限界と学校教育のダメさ、そしてAIに仕事を奪われないようにするために必要なたったひとつの能力について紹介していきます。

 AIの限界とは?

 著者が中心となって開発した東ロボくんは、東大に合格することはできませんでしたが、MARCHや関関同立の一部の学部には合格できるレベルに達したそうです。

 つまり、AIは有名な私立大学に合格できるだけの賢さを手に入れたということ。

 ところが、世間でもてはやされているほど、AIは万能ではなく、限界があると言います。

 現在、AI開発の主流となっているディープラーニングの延長線上では人工知能が実現することはありません。統計という数学的手法に限界があるからです。

 たとえば、AIがイチゴを「イチゴだ」とわかるためには、実際にイチゴを見せて、「これがイチゴだよ」と教える必要があります。その教える量が万とか億という単位で必要ですが、そうすればAIはイチゴだと判別できます。

 もう少し詳しく説明すると、AIは与えられたデータを繰り返し学習することで、そのデータの中にあるパターンや経験則、そして重要度を自律的に認識します。特に、画像は部品である特徴量の比較的単純な足し算で表現でき、特徴量の総和が大きいほどイチゴらしさ度が高まるため、ある基準を超えたときにイチゴだと判別すれば大体当たるのです。

 つまり、AIは意味を理解しているわけではありません。入力に応じて計算し、答えを出しているに過ぎないのです。四則演算をして、あたかも理解しているようなフリをしているだけです。

 AIが人間と同等の知能を得るには、私たちの脳が意識・無意識を問わず認識していることを、すべて計算可能な数式に置き換える必要があります。しかし、今のところ数式で出来るのは、論理的に言えること、統計的に言えること、確率的に言えることの3つだけ。そして、私たちの認識をすべて論理、統計、確率に置き換えることはできません。

 だからこそ、シンギュラリティ(AIが人間を超えること)はないのです。

 とはいえ、ただの計算機にすぎないAIに代替される人間が、社会の半数近くもいるそうです。なぜでしょうか。

 日本の中高生の多くは中学レベルの教科書が理解できていない?

 著者は東ロボくんを開発すると同時に、日本人の読解力についての大がかりな調査と分析をしました。

 そこでわかったのは驚愕の事実です。日本の中高生の多くは、詰め込み教育の成果で英単語や歴史の年表、数字の計算などの表層的な知識は豊富ですが、中学校の歴史や理科の教科書程度の文章を正確に理解できませんでした。

 たとえば、次のような問題を間違える中高生が半数近くもいたそうです。

 Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性のAlexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

 以下の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢から1つ選びなさい。

 Alexandraの愛称は( )である。

 ①Alex ②Alexander ③男性 ④女性

 もちろん①ですよね。ところが、多くの学生がこの問題を間違えたのです。

 英単語や世界史の年表を覚えたり、正確に計算することは、AIにとって赤子の手を捻るようなこと。日本の中高生が得意なことと、AIが得意なことは似ています。

 だからこそ、AIが発達することで失業者が溢れてしまうのです。チャップリン時代に起こったことと同じです。ホワイトカラーという労働需要があったのに、工場労働者はホワイトカラーとして働く教育を受けておらず、新たな労働市場に吸収されませんでした。

 労働市場へのAI参入によって仕事が楽になり、私たちが薔薇色の未来を謳歌するには、AIには手に負えない仕事を、大多数の人間が引き受けられることが大前提です。

 そのためにまず必要になる力は――。

 AIに仕事を奪われないようにするために必要なたったひとつの能力

 それは読解力です。AIは意味を理解することができないからです。

 たとえば、AIは文章を書いたり、絵を描いたり、作曲したりできません。もちろん、それっぽいものは作れますが、人を感動させるようなものは作れないでしょう。

 コミュニケーションや理解力を求められる仕事もそうです。子育てや介護、メンタルヘルスケアをAIが出来るとは思えませんよね。

 だからこそ、読解力が必要なのです。読解力と意欲さえあれば、いつでもどんなことでも大抵自分で勉強できるからです。

 また、仕事を変えるときにも読解力が求められます。新しい仕事に慣れるには、これまで自分が読んだことがないドキュメントを大量に読みこなす必要があるからです。

 つまり、これからの世の中を生きていくためには、AIには理解できない「意味」を理解する力が不可欠だということ。

 そのためにも、普段から質のいいインプットを繰り返し、考える力を養っていきましょう。(考える力を養う方法は、以下のエントリを参考にしてください)。

 最後に

 今回は、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を参考に、どうすればAI化の波に飲み込まれることなく働き続けることができるのか考えてきました。

 人間にしかできない仕事とは意味を理解した上でする仕事ーー誰かのお困りごとを解決する仕事です。もし、今の仕事がAIに置き換わるような仕事なら、今からでも「意味」のある仕事が出来るように、読解力を鍛えてみてはどうでしょうか。

 より詳しい内容が知りたい方は、ぜひ本書をお読みください。

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