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 子どもに「絵本を読み聞かせること」は、なんとなく子どもの学力向上につながるような気がしていましたが、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』を読んで、その通りだと納得することができました。

 ちなみに、著者である松永暢史さんは、「受験のプロ」として家庭教師をしたり、様々な教育メソッドを開発されてきた方で、これらの教育経験を通して次のように言われています。

 本格的な勉強は子どもが10歳を過ぎたくらいで十分と考えています。焦る必要はなく、のびのびと育てたほうがいい。とくに今の子は自然の中で遊ぶ経験が圧倒的に少ないですから、そうした機会をたくさん持たせてあげてください。

 ただし、将来、子どもが人生選択を希望通りに叶えるためにも、必ず習慣づけておいてほしいことがあります。それが「本を読む」ということです。(要約)

 では、なぜ「絵本の読み聞かせ」や「読書」が、子どもの将来の学力向上につながるのでしょうか。

 1. 基礎学力が養われるから

 まず、ひとつめの理由として、学力には欠かせない力――語彙力や文章理解力、思考力、集中力、表現力といった力が養われるからだと松永さんは言います。実際に、東大生の親を対象にしたアンケート結果でも、「子どもの頃にさせていたこと」は、共通して「絵本の読み聞かせ」でした。

 「今でしょ!」というフレーズで一躍有名になった林修先生もそのひとり。林先生は3歳の頃、画家の祖父に紙芝居『みにくいアヒルの子』を買ってもらい、祖父が繰り返し読み聞かせてくれるのをずっと聞いるうちに一字一句覚えたそうです。そして、祖父母に読み聞かせて褒めちぎられるという経験をしました。この経験を通して林先生は読書が好きになり、小学校入学前に日本語力の基礎を定着させることができたのです。

 その後、紙芝居を卒業した林先生は、次に百科事典、小学校へあがってからは歴史に関心を持つようになりました。小学3,4年生になる頃には、自分が知らないことを本や辞書で調べることが大好きになり、「歴史新聞」なるものを手書きするようになったといいます。

 こうして、ごく自然に勉強をはじめ、そのうち自分が「大好き」といえる分野がみつかった林先生は、当たり前のように学力がつき、東大に現役合格することができたのです。

 勉強ができるかどうかは、「日本語を用いて、ものごとを理解・表現する力」があるかどうかで決まります。絵本の読み聞かせは、「日本語力」を身につける最適なキッカケなのでしょうね。

 2. 勉強を楽しむ習慣が身につくから

 10歳までに読書を習慣づけたいもうひとつの理由として、「自然に勉強を楽しむ習慣が身につく」ことがあげられます。先ほどの林先生の例でもそうでしたが、他にも読み聞かせがキッカケで勉強が好きになった人たちが大勢います。

 12歳のときに自費出版で「Typing Finger」を出版し、15歳になるとホームスクールでロイヤルメルボルン工科大学の授業を受け、さらに、子どもの教育改革を目指して「子どもはとてもクリエイティブである」というテーマのブログを書き、空いている時間は絵を描いたりゴルフをしたりしているLine Dalileさんも、そのひとり。

 彼女は、絵本の読み聞かせをキッカケに、書くことや読むこと、考えることをはじめました。母が短い物語を読み聞かせてくれると、「書きたい、読みたい」という欲求が湧き上がり、頭の中にあることがすべてワクワクし、想像力が膨らんでいったそうです。そうして気づいたときには、彼女は勉強が大好きになっていました。

 参考:15歳の女子大生・作家・詩人・ブロガーにして教育論まで提唱するLine Dalileさんのインタビューが圧巻 – GIGAZINE

 一方で、今の日本の子どもたちはどうでしょうか。まわりを見渡してみると、幼児や小学校の低学年くらいから「塾」や「習い事」をしている子どもが大勢います。たしかに、そうすることで「そのときは」勉強ができるようになるのかもしれませんが、将来にわたってそうなるとは限りません。中学・高校へと進学するにつれて勉強が高度になり、じっくりと取り組む力が求められるからです。

 このとき、もし勉強が楽しいと感じられないようなら――どれだけ小さい頃から勉強に励んできたとしても、途中で挫折してしまうことになりかねません。それなら、松永さんが言うように、本格的な勉強は10歳を過ぎてからにして、それまでは読書を習慣づける手助けをしたほうがいいと思いませんか。

 頭が良くなる絵本の選び方

 ではここで、どういった絵本を選べばいいのか考えてみましょう。松永さんは「音のいい絵本」を選ぶべきだといわれています。それは、「日本語を用いて、ものごとを理解・表現する力」、いわゆる日本語力が身につくからだといいます。

 松永さんが中学二年生の家庭教師をしていたときのこと。その生徒の成績はクラスの下から二番目で、特に国語はひらがなも読み間違えるレベルでした。しかし、松永さんが『徒然草』を音読し、その後、彼にも同じように音読させたところ、彼のテキストを読む速度はグングン上がり、それに伴い成績もグングン上がっていったそうです。

 では、なぜ彼の成績は上がったのでしょうか。それは、「音のいい言葉」のエッセンスが詰まった『徒然草』を音読したからです。これまで数え切れないほどの教養人が音読してきた『徒然草』を音読したからこそ、彼の日本語力は伸びたのです。

 つまり、「音のいい絵本」を繰り返し読み聞かせれば、子どもの基礎学力が養われます。では、「音のいい絵本」とは、どんな絵本なのでしょうか。結論からいえば、次の5つの特徴をもった絵本のことです。

  1. 耳で聞くだけでわかる
  2. 一音一音読んでも乱れない
  3. そのまま覚えたくなってしまうようなリズムがある
  4. ゆっくり読んでも意味が通じる
  5. 黙読してもためになる

 とはいえ、この特徴だけでは、どんな絵本を選べばいいのか迷ってしまいますよね。そこで、最後に本書で紹介されていたオススメの絵本145冊をのせておきます。絵本選びの参考にしてください。

 1、2歳から

 赤ちゃんの頃から読み聞かせできる絵本。物語性は最小限に、短い文の中にギュッと言葉が凝縮されている。そのため、とても練り込まれていて、リズムやゴロの良い文が多く、上の年齢の子が覚えて暗唱するのにも最適。同じ本をくり返し読んであげよう。

 3、4歳から

 もっとも種類が豊富。ページも文字も少なめで、ストーリーもシンプルなので、音に集中できる。5、6歳はもちろんのこと、小学生でも楽しめる作品ばかり。自分で読むスタートにも。好みも出てくる年頃、一緒に眺めて子どもに選ばせるといい。

 5、6歳から

 文章が長く、話の内容も小学生が主人公だったりする、大きい子向けの絵本。読み聞かせで集中力を鍛えられる。もちろん下の年齢の子でも、興味を持ったら読んであげたい。この段階の本が難しそうだったら、「3、4歳から」に戻ってみる。

 【文学】幼年童話

 絵本から児童書の橋渡しになる本。絵本より挿絵は少なめだが、児童書よりは文章が少なく活字も大きくて、読みやすい。小学校低学年の子に最適。短編集が多いので、読み聞かせをしてあげるのもオススメ。

 【文学】児童書

 小学校中学年くらいからに最適の本。子ども向けに平易な文章のものから、大人でも読み応えのある本格的な文章のものまで様々。冒険物からファンタジー、ミステリーまで、好きなジャンルからどんどん読んでいきたい。

 【文学】名作シリーズ

 古今東西の名作と呼ばれる作品を集めたシリーズ。世界文学であれば、たいてい子ども向けに平易な文章でダイジェスト的にまとめ直されている。それが後々、原作を読むハードルを低くしてくれる。シリーズすべてを読破したら相当の名作通に。

 【知識】自然

 虫や植物、天体、地球のしくみまで、自然に関する本。小学生向けには写真やイラストを多用した、絵本的なものが多い。眺めるだけでも楽しい。なかでも図鑑は、知識の宝庫。決して高価ではないので、いつでも本棚から取り出せるよう、買い揃えたい。

 【知識】数学・科学

 算数や理科の教科につながるジャンル。すぐれた絵本が多く、絵を楽しみながら数学的、科学的な考え方を体感できる。理数系が苦手な子にもオススメ。

 【知識】社会

 社会科(生活科)につながるジャンル。世の中の仕組みを、イラストや図解でわかりやすく教えてくれるものが多い。社会の常識を今のうちに知っておくことも大切。その他、地図帳も家に置いておきたい。

 【知識】歴史

 小学生の歴史入門は「偉人伝」から。偉人伝にはその人物の歴史的背景がそのまま載っている。物語として読み通すことで、ムリなく歴史が頭に入る。また、偉人の生き方を知ることは、倫理観も育んでくれる。

 【知識】遊び

 探し絵本や迷路本など、楽しく遊べる本。小学校に上がる前から楽しめる。遊びながら、記憶力や集中力、自由な発想を鍛えられる。外出時に1冊持っていけば、十分時間をつぶせるので親は助かる。

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